研究課題/領域番号 |
18K13370
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山本 健太郎 九州大学, 人間環境学研究院, 講師 (30727087)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 異種感覚情報 / 時間的統合 / 感覚特徴 / 空間 / 運動 / タッピング |
研究実績の概要 |
異種感覚情報の時間的統合に感覚特徴の結びつきが果たす役割を検討するという課題に対して,当年度は主に(1)視聴覚間での相互作用が運動事象の判断に及ぼす影響と,(2)視覚・体性感覚の空間的な対応関係が行動に及ぼす影響について検討をおこなった。以下に具体的な成果を記述する。 (1)視覚的運動の対応問題の解決に聴覚情報が及ぼす影響について,Ternus displayを用いて検討した。視覚刺激の各フレームと同じタイミングで,1)二種類の音が一緒に片耳ずつ呈示される,2)一方の音は両耳に呈示され,他方の音が片耳ずつ呈示される,3)音を呈示しない,の3つの条件を設定して参加者の反応を比較したところ,動きの見えが切り替わるISIに条件間で有意な差は示されなかった。この結果から,視聴覚間の空間的な特徴の結びつきは対応問題の解決に影響しないことが示唆された。 (2)視覚刺激の運動方向とタッピング動作の方向が,感覚運動同期の精度に及ぼす影響を検討するため,運動刺激と動作の方向について垂直・水平の2種類ずつを設け,それぞれの条件で刺激と動作が時間的に同期するようにタッピングをおこなってもらった。刺激と動作の時間差(SE)と,動作の周期(ITI)を分析して方向条件間で比較をおこなったところ,動作の方向には関係なく,運動刺激の方向間でSEに有意な差が示された。このことから,感覚運動間の時間的統合に視覚的な運動の方向が関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初発表を予定していた学会に参加できず,成果の公表が遅れているものの,研究自体は複数が実施に至っているため,おおむね順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当年度中に十分に検討できなかった研究および次年度に実施予定の研究について,実験計画を立てて準備が整い次第実施をおこなう。また既に得られた成果について国内外の学会等で発表するとともに,英語論文としてまとめて国際誌に投稿をおこない,外部への成果の公表を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究代表者が別に代表として受け入れていた他研究費の補助事業期間が延長となったため,研究実施に至るまでに遅れが生じてしまい発表を予定していた学会に間に合わず,旅費として計上していた予算に残額が生じた。 (使用計画)当年度中に十分検討できなかった部分を進め,参加を見送った国内外の学会で成果を発表するための費用として使用することを予定している。また成果の一部を英語論文にまとめるための校正費や,雑誌掲載のための費用としても使用する予定である。
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