研究実績の概要 |
異種感覚情報の時間的統合における感覚特徴の役割を明らかにするという目的のもと,当年度は主にこれまでに得られた研究結果の整理と成果の公表を行った。以下に具体的な活動実績を示す。 (1)行為と感覚結果の時間的結合効果において,行為の種類と結果の種類の組み合わせが時間評価に及ぼす影響を検討した。その結果,行為の種類については押す動作の方が離す動作よりも結合効果が強く,結果の種類については視覚刺激の出現時に視覚刺激の消失時よりも効果が強くなった。一方で,行為と結果の種類の組み合わせによる影響は示されなかった。これらの結果から,行為の種類と結果の種類が時間的結合効果に独立した影響を及ぼすことを明らかにし,誌上で公表を行った(Yamamoto & Xiu, in press)。 (2)前年度に行った,音高(ピッチ)の変化と視覚的運動の相互作用に音声環境が及ぼす影響に関する研究について,ピッチ変化による影響の程度に中国語母語話者と日本語母語話者で違いは示されなかったという研究成果を電子情報通信学会ヒューマン情報処理研究会で発表し,論文としてまとめたものを技術研究報告として公表した(山本・張,2022)。 (3)前年度に行った,感覚間協応の種類毎のメカニズムの共通性・差異性に関する研究について,視聴覚における感覚間協応の評価には言語的な媒介の有無という点で異なる2つのメカニズムが存在するという研究成果を英語論文にまとめ,国際学術誌に投稿を行った。
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