研究実績の概要 |
コロナ禍において本研究計画を遂行するため,計画した記憶実験をオンラインで実施するためにオンライン実験開発への習熟を目指した。その一貫として,日本心理学会でのチュートリアルワークショップの開催(小林・国里・大杉・西山・紀ノ定・遠山,2021)やオンライン実験に関するレビュー論文を執筆した(大杉・小林,2021)。 また,ある記憶の検索が関連する他の記憶の忘却を導く現象である検索誘導性忘却(Anderson et al., 1994)については,系列記憶(順番の記憶)において検索誘導性忘却が生じるかどうかをにオンライン実験を複数実施することで検討した。実験にあたり,仮説や方法などを事前に登録するという事前登録(pre-registration)を行った上で実験を実施した。実験の結果,系列の一部を思い出すこと(検索すること)が検索していない他の系列の記憶を抑制するというおいても検索が忘却を誘導する可能性を示した。行動実験だけでなくシミュレーションも行うことで,系列記憶の検索誘導性忘却に関する多面的な検討を実施することができた。 また,特定の項目に対して忘却を指示することで対象の記憶が忘却される現象である指示忘却(項目法)に関連しては,オンライン実験において画像の指示忘却効果が生じることを確認した。このオンライン実験を改良することで,本研究計画で扱う指示忘却によって顔画像の信頼性が低下するかどうかを検討することができる。
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