研究課題/領域番号 |
18K13386
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 公 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (50724514)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ファノ多様体 / 正標数 / 代数幾何学 / 双有理幾何学 / 極小モデル |
研究実績の概要 |
本研究課題では、正標数の極小モデル理論を確立する事を目標として、以下の2つの具体的な研究テーマに沿って研究を進める事を目指している。1つはp進コホモロジーやヴィット環の理論を極小モデル理論へ応用する事(以下(A)と記す)で、もう1つは正標数におけるファノ多様体の研究(以下(B)と記す)である。 1つ目の研究テーマ(A)に関して、2つの方向により研究を進めた。1つは昨年度までに考えていた消滅定理の一般化で、もう1つは正標数のフリップの存在についてである。前者についてはある程度纏まった結果が得られた為、学術論文として公表する予定である。後者については新しい着想が得られた為、これに基づいて研究を進めた所、いくらか非自明な結果が得られた。一方で、これらの結果は元の問題やその周辺の双有理幾何の問題に有用な応用を与えるまでには至っていない。この方針に基づく研究ついてはまだ検証するべき余地が残されている為、まだ発展途上の段階であると言える。この方向の研究については、来年度以降も引き続き継続する予定である。 2つ目の研究テーマ(B)に関しては、正標数の3次元ファノ多様体に関して研究を行い、いくつか新しい結果を得た。例えば、Shepherd-Barron氏により1997年にCompositio Mathematicaより出版された論文の内のいくつかの結果について反例を与えた。反例を与えるという否定的な結果のみでなく、肯定的な結果もいくらか得られているが、この方向での研究は、より推し進める事が可能であると考えている為、纏まった形になった段階で学術論文として公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載した通り、2つの研究テーマ(A)および(B)に沿って研究を進めている。いずれのテーマに関しても、一定の進展が得られた為、おおむね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の研究方針に従って研究を進める予定である。より具体的には、「研究実績の概要」に記載した2つの研究テーマ(A)および(B)に沿って研究を進める。今年度の研究は発展途上の部分があり、来年度は今年度の研究を引き継ぐ形で進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は新型コロナウイルスの影響により、本研究課題を申請した時点で予定していた旅費による出費は全くなかったため次年度使用額が生じた。翌年度も出張は著しく制限される事が予想される。一方でリモートによる研究連絡等の機会が増えた為、必要に応じてその設備投資に充てる予定である。
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