研究課題
最終年度である2022年度においては、論文を複数出版し、一方で2本のプレプリントを執筆した。出版の方で言うと、Calabi-Yau多様体の退化先として「銀河」という局所環つき空間を導入し、今後の微分幾何学・代数幾何学・非アルキメデス幾何学的扱いの交わりにおいての方向性の準備をした。これは極小スケルトンのHuber型の精密化であって、各成分には完備Ricci-flat計量が入るものが取れるのではないか、さらに非アルキメデスCalabi-Yau方程式の記述に役立つのではないかと想定している。前田洋太氏とのFano志村多様体の論文も出版した。執筆の方で言うと後藤慶太氏と偏極アーベル多様体の(有限商の)極大退化族をFaltings-Chaiの複素類似として具体的に記述し、さらにその上の特殊ラグランジアンファイブレーションを特定し(そこまでは難しくない)、非アルキメデス類似であった非アルキメデスStrominger-Yau-Zaslow型ファイブレーションにハイブリッド位相の意味で収束をすることを示した。同時に非アルキメデスCalabi-Yau計量も複素のCalabi-Yau計量の収束先であると言う現象を見つけ、今後一般論として期待される方向の重要な示唆をした。服部真史氏とは、同氏が導入した特殊K安定性論に基づいて、私が8年ほど前に導入したアラケロフ幾何学版Yau-Tian-Donaldson予想の部分的解決を行った。また、その予想が正しいとして、その極値が与える事になる一般化Faltings高さの数論的性質について今後の方向性を模索した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
International Mathematical Research Notices
巻: 2023 ページ: -
Birational Geometry, Kahler-Einstein Metrics and Degenerations: Moscow, Shanghai and Pohang,Springer Proceedings in Mathematics & Statistics, 409
巻: 409 ページ: -
European Journal of Mathematics
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