研究課題/領域番号 |
18K13399
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
平松 直哉 呉工業高等専門学校, 自然科学系分野, 准教授 (20612039)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 極大コーエン・マコーレー加群 / 退化 / 加算CM表現型 |
研究実績の概要 |
本課題の目的は「表現スキームの理論を用いて極大コーエン・マコーレー加群の圏構造を解析し, 表現スキームの幾何学的な性質から表現型を特徴付ける」ことである。一般に加群を分類することは不可能だが、加群の次元を制限することで表現スキーム(加群多様体)による階層的な分析が可能になる。従って、「階層的な分析=表現スキーム」の考察は分類理論において重要な意味をなす。 平成30年度は名古屋大学の高橋亮氏との共同研究で、極大コーエン・マコーレー加群の同型類のなす集合に対して位相構造を定義し、その位相による既約閉部分集合の分解について考察した。基礎環が高次元多元環の場合、加群の退化が推移性の成立は未解決だが、直和を許せば成立することが知られている(高橋、2018年)。従って加群の退化の関係は、直和を許せば加群の同型類のなす集合に閉包作用を定義することができる。この点に着目し、極大コーエン・マコーレー加群のなす集合に位相構造を定めた。主な結果として、基礎環が加算CM表現型をもつ超曲面環で奇数次元A型、または任意次元D型の場合においては、極大コーエン・マコーレー加群の集合は有限個の既約閉集合による和集合で記述できることがわかった。以上のことについて、論文を執筆し、投稿中である。 加群の退化理論は加群多様体の幾何学的構造が背景にある。この考察はこれまであまりなされていなかった高次元の退化理論の幾何学的側面の考察を行ったものであり、その点において意義がある考察と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実績の概要で述べたように、極大コーエン・マコーレー加群のなす集合に加群の退化の関係から位相構造を導入し、幾何学的な性質、例えば基礎環が有限CM表現型ではなくても、有限個の既約閉集合による分解が得られる場合があることを明確にしたことは評価できる。しかしながら当初計画していた表現スキームの考察については、その幾何学的な性質を考察する際には体上のスキームではなく可換環(ベキ級数環)を考える必要があり、その様相は複雑なものになる。また具体的な場合において有限次元代数の場合の素直な類似の検討を行ったが、あまり良い性質をもつものではなかった。従って当初の研究計画の見直し等が必要になったため、本課題の進捗状況はやや遅れていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
局所環上ではなく、次数付き環上の次数付き極大コーエン・マコーレー加群の表現スキームを考察することを行う。次数付きの場合においては、[Dao-Shipman, 2017]による研究がある。次数付き極大コーエン・マコーレー加群の表現スキーム(加群多様体)は体上の多様体として実現されるため、幾何学的な状況を観察しやすい。またこれまに得られている具体計算も次数付きで捉え直すことで適用できる。本課題を次数付きの側面からアプローチし、2019年度は主に、有限次元代数上での加群多様体の関係を考察することを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本務の関係からいくつかの出張を取りやめたため、繰越金が生じた。2019年度に開催される研究集会への出張旅費、また11月に開催される第41回可換環論シンポジウムについて、本シンポジウムの報告集による知見(成果)の報告は課題達成にむけて必要であると考えられるので、その作成経費に充てる予定である。
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