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2020 年度 実施状況報告書

表現スキームによるコーエン・マコーレー加群圏の構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K13399
研究機関呉工業高等専門学校

研究代表者

平松 直哉  呉工業高等専門学校, 自然科学系分野, 准教授 (20612039)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード極大コーエン・マコーレー加群 / 関手圏
研究実績の概要

2020年度は極大コーエン・マコーレー(MCM)加群の考察をその関手圏において行った。具体的にはMCM安定加群圏の有限生成関手圏のクルル-ガブリエル次元の計算を行った。クルル-ガブリエル次元はモデル理論に由来し、加群圏の短完全列が有限生成関手に対応することを利用し、関手の組成列を見ることで(有限生成関手圏はアーベル圏になる)短完全列の階層構造を調べるものである。有限次元多元環においてはGeigleらによって調べられており、表現型理論にも関係が深い。本年度の考察では基礎環が有限CM表現型のとき、MCM安定加群圏の関手圏のクルル-ガブリエル次元が0であることがわかった。これは有限次元多元環で知られているAuslanderの結果の類似である。また1次元A加算表現型の超曲面環k[[x,y]]/(x^2)上のMCM加群圏について、そのクルル-ガブリエル次元を計算し、それが「2」であることがわかった。1次元A加算表現型超曲面環は直既約なMCM加群が可算個存在し、有限表現型の次に扱いやすい対象である。すでにMCM加群圏の構造(AR箙)が知られているので、それを用いることで計算を行った。1次元A加算表現型超曲面環上のMCM加群圏のクルル-ガブリエル次元の考察はPuninski氏によるものがあり、氏の結果も「2」である。しかしPuninski氏の考察は加群圏(無限生成加群を含む)におけるMCM加群の部分を考えているため、今年度の考察とは異なっていることを注意しておく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年度は別の視点として、関手圏においてMCM加群の解析を行った。主として考察を行ったクルル-ガブリエル次元はそれ自体が計算が困難なもので、基本的な例ではあるが具体的な計算ができたこと、有限表現型の場合の知見が得られたことは評価できると考えられる。一方で本課題の主であるTorichotomy問題との関連についてまでは考察できていない。また昨年度からの案件である表現スキームについて、連結成分などの幾何学的性質の知見の獲得や、Endolength有限な次数付きMCM加群の考察もできなかった。以上の理由からやや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

MCM加群圏の構造解析について、関手圏の観点から考察を進める。具体例の考察で、クルルーガブリエル次元の最大値を与える関手(加群)については他の関手とは異なる特徴が見られたので、それら加群の存在と表現型との関連を考察する。並行して表現スキームの視点に基づいての解析を行い、順表現型等の特徴づけを試みる。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症によるパンデミックにより、研究課題に関連する国際会議、学会等が全て中止、延期、オンラインによる開催となったため、参加予定だった出張を取りやめたためである。2021年度の使用計画としては新型コロナウイルスの感染状況や対策に留意した上で実施する研究打ち合わせやセミナー等の出張旅費、また書籍や論文複写購入費として使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Geometry of varieties for graded maximal Cohen--Macaulay modules2021

    • 著者名/発表者名
      Hiramatsu Naoya
    • 雑誌名

      manuscripta mathematica

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s00229-021-01282-x

    • 査読あり
  • [備考] Naoya HIRAMASTU

    • URL

      https://www.kure-nct.ac.jp/department/g/original/hiramatsu/index.html

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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