研究課題/領域番号 |
18K13400
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
スリアジャヤ アデイルマ 九州大学, 数理学研究院, 助教 (50804241)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ゴールドバッハ問題 / ディリクレL関数 / 零点 / リーマンゼータ関数 / 零点の対相関 / 素数定理 / セルバーグクラス / 関数等式 |
研究実績の概要 |
Friedlander氏、Goldston氏とIwaniec氏との共同研究で、正の整数の二つの素数もしくは素数冪の和としての書き表し方(ゴールドバッハ表現)を数える和に関するHardyとLittlewoodによる予想より弱い予想の下で、ディリクレL関数の例外的零点の非存在を示した。この論文はオンライン出版済みである。また、Goldston氏と昨年度執筆した論文は両方とも出版された。これらの研究の続きとして、ゴールドバッハ表現の素数定理への応用に関する研究を行い、論文は投稿済みである。更に、その研究により、素数定理とリーマンゼータ関数の零点の対相関(ペアコリレーション)との関係に気づき、その関係をさらに明かす研究を行なっている。これまでのアイデアを活かし、Baluyot氏とTurnage-Butterbaugh氏も加わり、リーマンゼータ関数の零点の対相関と零点の重複性への応用を調べている。 昨年度行ったSourmelidis氏とSteuding氏との共同研究で、ディリクレ級数の係数が周期性を持つL関数の関数等式に関わる値分布に関する論文は出版済みであり、セルバーグクラスのL関数の関数等式に関わる値分布に関する論文は投稿後の修正段階である。その研究の続きとして、リーマンゼータ関数の関数等式に関わる値分布と素数定理との関係を調べながら、ゼータ関数及び関数等式のガンマファクターのa-点の対相関を調べている。 Chaubey氏とSingh Khurana氏との共同研究でセルバーグクラスのL関数の導関数の零点について調べて結果の一部は投稿済みである。 杉山真吾氏との共同研究で、ディリクレL関数の実軸に近い零点の分布とランダム行列に関係する論文を完成し、現在投稿済みである。 最後に、Beauchemin氏とWarren氏との共同研究で、ウイルス感染率を表す二つの数学モデルの関係を調べている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当時の予定よりも課題がたくさん増えて、結果が順調に出た。研究テーマもどんどん広がり、物理学の問題にも関わる課題を取り組み始めた。ランダム行列に関係する一つ目の研究が完結でき、ウイルス感染率に関する研究は当課題執行期間の初め頃(2018年春)から取り組み始めたが、4年近くなった今年度末にようやく進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度始めた研究課題の一部はほぼ完成となり、それらを完成して投稿する予定である。特に、Goldston氏と行っていている素数定理とリーマンゼータ関数の零点の対相関の関係に関する研究、Baluyot氏、Goldston氏とTurnage-Butterbaugh氏と調べているリーマンゼータ関数の零点の対相関とゼータ関数の零点の重複性への応用に関する研究を整理している段階である。 Sourmelidis氏とJoern Steuding氏との共同研究で、リーマンゼータ関数とその関数等式のa-点の対相関、値分布と素数定理の関係の研究を進める予定である。 Sneha Chaubey氏とSuraj Singh Khurana氏と行ったセルバーグクラスのL関数の導関数の零点に関する共同研究の続きも進め、今年度の結果により自明な零点は決定できたため、非自明な零点の詳しい調査を始める予定である。 杉山真吾氏と続きの共同研究で、関数体上のL関数の実軸に近い零点の分布とランダム行列に関係する研究も進める予定である。 最後に、Beauchemin氏とWarren氏と共に調べているウイルス感染率を表す二つの数学モデルの関係を明らかにしたい。現在、それぞれの数学モデルの解のシンプルな書き方が実現できたが、更なる単純な表示を目指している。単純な表示により、二つの解の形が似ているものになり、関係を明かすのに役立つ。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度はまだ出張が困難だったため、今年度の研究打ち合わせの出張旅費に使用する予定である。
|