研究課題/領域番号 |
18K13407
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
入江 慶 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (90645467)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | Floerホモロジー / ループ空間 |
研究実績の概要 |
R4年度は以下の三つの研究を行った:(A)接触ホモロジーのコボルディズム写像の具体的な計算、(B)自由ループ空間の新しい鎖複体モデルの構成、(C)トーリック領域のS^1同変シンプレクティック・ホモロジーの計算。 (A)は本年度前半に主に取り組んでいたが、進展が行き詰ったため、一度離れることにした。 (B)は、以前行った自由ループ空間の鎖複体モデルの構成の技術的に煩雑な箇所を簡略化しようというものである。細部については共同研究者とのメール連絡により研究を進めた。 (C)は、トーリック領域のS^1同変シンプレクティック・ホモロジーを組織的に計算しようという試みである。本年度は、非自明な最も簡単な場合であるC^2のトーリック領域に関して予想を定式化し、その予想がS^1同変シンプレクティック・ホモロジーについての既知の事実と整合的であることを確かめた。これについてプレプリントarXiv:2304.08720を執筆した。ただし細部の点検が本年度中に終了しなかったため、発表はR5年度にずれ込んでしまった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、本年度は(A)を中心に研究するつもりであったが、予想以上に難しくこの研究は一旦停止している。 一方(B)は本年度後半に行った集中講義をきっかけに得られた予想外の進展であり、 (C)は数年前から漠然と考えていた計画が具体的な進展を見せたものである。 本年度は(A)に年度前半の多くの時間を割いたが大きな進展は得られず、(B)と(C)はある程度進展したものの、本年度中には研究が完結しなかった。そのため(3)やや遅れている、と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
(C)の研究を中心に進める。 まず、上記プレプリントで定式化した予想を証明することを第一の目標とする。 大まかな計画は立っているので、比較的計画的に進められるであろう。 このプレプリントはC^2内のトーリック領域のS^1同変ホモロジーに関するものだが、次の段階としては高次元の場合や接触ホモロジーの場合などが問題になる。これについても研究を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度も、主にコロナ禍のためほぼ出張しなかったため。 次年度も、主に書籍と電子機器の購入にあて研究環境の充実につとめたい。
|