研究課題/領域番号 |
18K13417
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
只野 誉 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 助教 (20772396)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Ricci フロー / Ricci ソリトン / 直径評価 / スカラー曲率 / Hitchin-Thorpe 不等式 / 平均曲率流 / 佐々木多様体 / 佐々木-Ricci ソリトン |
研究実績の概要 |
今年度は、m-Bakry-Emery Ricci 曲率を経由した Myers 型の定理の一般化に関する研究と、リーマン多様体上の Ricci ソリトンに対する直径評価及びその拡張に関する研究を行い、次の成果を得ることができた: (1) m-Bakry-Emery Ricci 曲率を経由した Ambrose 型、Galloway 型、Cheeger-Gromov-Taylor 型の定理を得た。 (2) コンパクトな縮小 Ricci ソリトンに対して下からの直径評価をスカラー曲率の最大値及び最小値を用いて記述した。 (3) 4次元のコンパクトな縮小 Ricci ソリトンが Hitchin-Thorpe 不等式を満たすための新たな十分条件を与えた。 (4) (2) で得た縮小 Ricci ソリトンの直径評価を平均曲率流の自己縮小解や佐々木-Ricci ソリトンに対して拡張した。 成果 (1) についてまとめた論文は現在、学術雑誌に投稿中である。成果 (2)、(3)、(4) の前半についてまとめた論文は学術雑誌 Differential Geometry and Its Applications に出版された。成果 (4) の後半についてはさらに研究を推し進め、ある程度の結果がまとまった後、学術雑誌に投稿する予定である。さらに、上記の成果に関して国内外の研究集会や会議、セミナーなどで口頭発表やポスター発表を行い、参加者と意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた成果 (2) でリーマン多様体上の Ricci ソリトンに対する直径評価を確立し、成果 (4) の後半で成果 (2) を佐々木-Ricci ソリトンに対して拡張することができた。特に成果 (4) の後半を得たことは、リーマン多様体上の Ricci フローや Ricci ソリトンに対して得られた結果が横断幾何学においても成り立つことを示唆するものであり、本研究課題の設定が適切で、研究がおおむね順調に発展していると評価できる状況証拠であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Ricci 曲率の変形を用いて多様体の幾何解析学的性質を調べることは微分幾何学における中心的な話題のひとつである。昨年度同様、当該分野に関連する国内外の研究集会や会議に参加し、申請者の結果に関して講演を行ったり他の参加者と意見交換を交わし、最新の情報収集に務め、新たな知見を得ることで研究を加速させたいと考えている。
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