研究課題/領域番号 |
18K13425
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白石 大典 京都大学, 情報学研究科, 講師 (00647323)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ランダムウォーク / ブラウン運動 / 一様全域木 / スケール極限 |
研究実績の概要 |
本年度の研究の第一の成果としては3次元ループ除去ランダムウォークが与えられた点を通過する確率のシャープな評価を与えたことである。第二の成果としては、このシャープなhitting probabilityを用いて、3次元ループ除去ランダムウォークのスケール極限の存在を、プロセスレベルで与えたことが挙げられる。すなわち、時空に関して適切にスケーリングを施したループ除去ランダムウォークが一様収束位相に関して弱収束することを証明した。一様収束位相に関する収束を得る動機としては、3次元一様全域木のスケール極限を理解するということが挙げられる。本年度の結果が3次元一様全域木の研究を推し進めると期待している。すでにいくつかの結果は得られており、それらを適切に組み合わせることが来年度の研究で行うべきことであると言える。また、シカゴ大学をはじめとする多くの国内外の研究機関において、本年度の研究結果をセミナーにおいて口頭発表した。そこでの議論を通して得られた知見は今後の研究に大いに役立つものと考えられる。口頭発表だけでなく、上記の研究結果を論文の形でまとめあげ、現在学術雑誌に投稿中である。上記の研究は統計物理に起源を持つ3次元確率モデルの数学的に厳密なアプローチを開拓する上で重要なものであると考えている。3次元においては、スケール極限の存在はわかってきているが、それが何なのかはまだ不透明な状態であると言わざるを得ない。スケール極限の適切な記述を与えることを大きな目標として研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
適切にnormalizeした3次元一様全域木がGromov-Hausdorffの位相に関して緊密であることはすでに証明している。部分列の収束だけでなく、列全体の収束を示すことが鍵となる。これは上で述べたループ除去ランダムウォークの一様収束位相に関する収束が重要なファクターとなり、困難な部分はすでに完了していると考えてよい。あとは技術的な問題をうまく処理することによりゴールまでたどり着けるものと期待している。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、上で述べた一様全域木の全体列の収束を示すことが目標となる。これについては80%はすでに終了しているので、最後まで研究を推し進めたい。3次元においては、ループ除去ランダムウォークや一様全域木のスケール極限の存在はわかってきているが、それが何なのかはまだ不透明な状態である。こうしたスケール極限の適切な記述を与えることは大きな問題であり、今後はこの問題を解決すべく研究を進めていきたい。
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