北京大学のXinyi Li氏との共同論文``Convergence of three-dimensional loop-erased random walk in the natural parametrization''の査読期間中に要求された修正作業をようやく完遂することができた。3次元ループ除去ランダムウォークの非常にデリカートな議論が必要となるため、非専門家にも伝わるように論文を作成することは困難を極めたが、どうにか形にすることができた。また、修正作業の副産物として、当初得られていた結果を改良することにも成功した。より正確に述べると、以下のようになる。3次元ループ除去ランダムウォークをプロセスとして見た時のスケール極限の存在を示すことが、このプロジェクトの目標であるが、dyadicな格子のメッシュサイズに沿った極限のみを扱っていた当初の結果を任意のメッシュサイズに沿ったスケール極限の存在に拡張することができた。この改良は、Angel氏、Croydon氏、Hernandez-Torres氏らとの共同研究で扱った、3次元一様全域木のスケール極限の結果の改良にも使うことができる。依然としてここで現れるスケール極限の良い記述は与えられていない状況である。その特徴付けは今後の大きな課題のひとつと言える。この研究で得られた結果を国内外の研究集会及びセミナーにおいて講演し、情報共有を図った。その際の議論を通して得られた知見は、今後の研究に大いに役立つものであり、いくつかの話題に関しては既に研究を開始している状況である。
|