研究課題/領域番号 |
18K13430
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
横山 聡 早稲田大学, 理工学術院, 客員次席研究員(研究院客員講師) (70643774)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 確率論 / 偏微分方程式 |
研究実績の概要 |
水と油、水と氷などのように、性質が異なる物質間に現れる境界(界面)の時間経過に伴う挙動を、ランダムな要素である確率項(ノイズ)を付加して追跡する。ノイズの効果がない界面の挙動は偏微分方程式で記述されるが、物理的にできるだけ自然なノイズを付加したモデルを考える場合、対応する確率偏微分方程式を解析することが必要となる。以下に本年度の実績を述べる。 1. 時空の両パラメーターに依存するようなノイズを外力効果として付加したランダムな界面の方程式は、物理的に極めて自然と思われるが、局所解を構成することは容易ではなくそれほど多くの研究結果もない。外力項としては、物理的な意味からできる限り自然であることを念頭に、時空には依存するが時間変数についてはガウス型ホワイトノイズで、空間変数に関しては十分な滑らかさを持つような乗法的ノイズをモデルとして採用した。 このような条件を満足する界面モデルからは、準線形放物型の確率偏微分方程式の解析が必要となり、その局所解が適当な関数空間上に一意に存在する事を証明した。当研究結果は雑誌Journal of Theoretical Probabilityに受理され掲載される予定となっている。 2. 反応拡散方程式であるAllen-Cahn方程式に体積保存の条件を課し、時間的にGauss型ホワイトノイズに法則収束するような滑らかなノイズ、および反応項に微小パラメーターを付加したような体積保存型確率Allen-Cahn方程式について、反応項が双安定条件を満たさないような場合の極限移行での状況を、初期条件の違いによって調査し、進行波、確率平均曲率方程式が導かれる事が分かった(早稲田大学舟木直久教授との共同研究)。 国内研究成果発表、共同研究作業として出張、講演を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
掲載が決定している結果もあり、研究の進行が現状大きく妨げられてはいない。
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今後の研究の推進方策 |
確率Allen-Cahn方程式における微小パラメーターの極限操作によって、得られる境界面の時間発展は、その反応項が満たす条件によって、確率平均曲率方程式、あるいは進行波と異なった状況が現れる。現状、反応項が双安定条件を満たさない場合で、境界に進行波が当たる場合、進行波どうしが衝突する場合を、自然な確率項を含めて数学的に研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的に拡がった感染症により出張計画見直しを行った。次年度は共同研究のための出張を進める予定である。さらに確率Allen-Cahn方程式の極限操作で現れる現象の解析をより柔軟に行うためにPC機器等の設備の購入、および書籍の購入を推進する。
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