研究実績の概要 |
完全WKB解析はStokes幾何が記述可能であり,非退化Stokes幾何および退化Stokes幾何が存在する.また,simple poleをもつ大きなパラメータを導入した2階の超幾何微分方程式の退化Stokes幾何はghost pointと呼ばれる点をもつ.Gaussの超幾何微分方程式の各特異点(特異点は0,1,∞である.)の特性指数に比例するかつ原点がsimple poleになるように大きなパラメータを導入したGaussの超幾何微分方程式について退化Stokes幾何となるパラメータの領域を境界としたとき,パラメータ領域ごとに非退化Stokes幾何の形状が異なること(以下,パラメータに関するStokes幾何の分類とする.)を証明した. Gaussの超幾何微分方程式について各特異点の特性指数に比例するように大きなパラメータを導入し,simple poleをもたない場合についてのパラメータに関するStokes幾何の分類は過去に自身が証明したが上記のsimple poleをもつ場合については今まで証明されていなかった.simple poleをもつ場合についてはsimple poleをもたない場合のパラメータに関するStokes幾何の分類の証明と異なる方法で証明した. パラメータに関するStokes幾何の分類はGaussの超幾何微分方程式の基本解である超幾何関数と大きなパラメータを導入した超幾何微分方程式の形式解であるWKB解のBorel和の関係をつけるために重要であるため,今後の研究の推進のために極めて重要な結果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年12月12日から2021年3月31日および2022年2月13日から現在に至るまで産前産後の休暇,育児休業の取得しており研究を中断していたため進歩状況は遅れている.また,妊娠の影響で体調が優れない日が多かったため進歩状況は遅れている. さらに本研究では3階の超幾何微分方程式について今年度は研究を行う予定であったが,自身の今までの結果を基とし研究が行えると予想したsimple poleをもつ場合の2階の超幾何微分方程式について研究実施することとしたため当初行う予定であった研究課題からは遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
各特異点の特性指数に比例するかつ原点がsimple poleになるように大きなパラメータを導入したGaussの超幾何微分方程式について,Gaussの超幾何微分方程式の基本解である超幾何関数と大きなパラメータを導入した超幾何微分方程式の形式解であるWKB解のBorel和の関係をつける予定である.過去に原点がsimple poleになる場合のGaussの超幾何微分方程式の基本解の1つである1に展開をもつ基本解とWKB解のBorel和の関係はつけているものの,原点に展開をもつ基本解である超幾何関数とWKB解のBorel和の関係はつけていない.超幾何関数とWKB解のBorel和の関係をつけるためにまず大きなパラメータを原点がsimple poleをもつように導入したGaussの超幾何微分方程式の基本解の接続公式を求める予定である.上記の1に展開をもつGaussの超幾何微分方程式の基本解とWKB解のBorel和の関係と接続公式を利用することにより超幾何関数とWKB解のBorel和の関係が求まると予想している. 完全WKB解析は大きなパラメータを導入しているため,上記の超幾何関数とWKB解のBorel和の関係を利用することによりパラメータに関する超幾何関数の漸近挙動を求めることが可能である.simple poleをもつ場合の超幾何微分方程式の解である超幾何関数は様々な分野で発展を促しているため,超幾何関数のパラメータに関する漸近解析の先行結果の別証明を超幾何関数とWKB解のBorel和の関係を利用して与えたいと考えている.
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