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2018 年度 実施状況報告書

調和解析における分数冪作用素の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K13434
研究機関福島工業高等専門学校

研究代表者

飯田 毅士  福島工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (60633435)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード調和解析 / 分数冪Orlicz 極大作用素 / 関数空間 / 荷重Lebesgue空間 / 強有界性 / 弱有界性
研究実績の概要

Orlicz極大作用素に対するLp空間上の有界性やFefferman-Stein型の不等式が成り立つための必要十分条件は,Bp条件として知られている.一方で,分数冪Orlicz極大作用素に対するLebesgue空間上の有界性に関する必要十分条件は判明していなかった.本研究における現段階の研究実績は,その課題に対する結論と考えてよい.具体的には次の結果である:通常の分数冪極大作用素における荷重Lp空間上の有界性に関してはSawyerの不等式が成り立つことが知られており,これはFefferman-Steinの不等式を分数冪極大作用素の場合に拡張したものと解釈できる.その一方で分数冪極大作用素におけるLp空間からLq空間への有界性に関してはHardy-Littlewood-Sobolevの不等式が成り立つことが知られている.本研究によって,次のことが判明した.
1.分数冪Orlicz極大作用素におけるSawyer型の不等式が成り立つための必要十分条件はBp条件であること,すなわちOrlicz極大作用素におけるLp空間上の有界性やFefferman-Stein型の不等式が成り立つための条件と同値であることが判明した.
2.分数冪Orlicz極大作用素におけるHardy-Littlewood-Sobolevの不等式が成り立つための必要十分条件を導出した.その結果によれば,Orlicz極大作用素に対するLp空間上の有界性の方が分数冪Orlicz極大作用素に対するHardy-Littlewood-Sobolev型の不等式よりも本質的に強い不等式であることが判明した.
3.Orlicz極大作用素に対する弱型不等式が成り立つための必要十分条件が知られているが,分数冪Orlicz極大作用素に拡張した場合の弱型不等式が成り立つための必要十分条件について考察した.その結果,Orlicz極大作用素に対するLp空間上の弱有界性と分数冪Orlicz極大作用素に対するSawyer型の弱有界性や分数冪Orlicz極大作用素におけるHardy-Littlewood-Sobolev型の弱有界性が成り立つための条件は全て同値であることが判明した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画では分数冪Orlicz極大作用素に対するSawyer型不等式が成り立つための必要十分条件およびHardy-Littlewood-Sobolev型の不等式が成り立つための必要十分条件について検討することになっていたが,それらに関する必要十分条件に加えて,分数冪Orlicz極大作用素の弱有界性が成り立つための必要十分条件まで得られており,当初の計画よりも進んだと考えている.それらの研究成果を踏まえた更なる課題をいくつか発見しており,現在はそれらの課題に着手し,そのうちの一つについては,まとめている段階であり,具体的には次のものである:
1.Lp空間上で成り立つための必要十分条件を導出したので,その条件の下で,分数冪Orlicz極大作用素に対するMorrey空間上のAdams型の不等式へと拡張する.

今後は残っている課題を解決していきたい.

今後の研究の推進方策

以下が現時点で発見した残された課題である:
1.分数冪Orlicz極大作用素に対するOrlicz空間及びOrlicz-Morrey空間上の弱有界性,強有界性が成り立つための条件について考察する.研究計画では関数空間はLp空間に制限していたが,次にOrlicz空間へ拡張する.Orlicz極大作用素に対するOrlicz空間上の強有界性は既知の結果として知られているので,それを包括するような条件を導出したいと考えている.
2.多重線形版分数冪Orlicz極大作用素に拡張した場合の,荷重Lebesgue空間上の有界性やMorrey空間上の荷重評価,更にOrlicz-Morrey空間上へと拡張する.

次年度使用額が生じた理由

学会講演や研究会等で使用しているノートパソコンが老朽化しており,交換の時期に差し掛かっている.さらに紙媒体の論文等の文献資料が膨大なものとなっており, それらの資料の整理をすることが必須であると考えている.そのために文献資料の電子化をするべく, スキャナの購入を計画している. 占めて,およそ33万円ほど使用する. さらに, 日本数学会や実解析シンポジウム,調和解析セミナー,京都大学RIMS研究集会などの研究集会に参加し,そのいくつかにおいて講演発表を行う予定がある.そのためにその費用として約30万円ほど使用する.1万円で文房具の購入,8万円で,論文のオープンアクセス化,別刷り出版料金等を計画している.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Orlicz-fractional maximal operators on weighted $L^{p}$ spaces2019

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Iida, Yoshihiro Sawano
    • 雑誌名

      Journal of Mathematical inequalities

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Orlicz-fractional maximal operators on weighted $L^{p}$ spaces2019

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Iida
    • 学会等名
      調和解析セミナー
  • [学会発表] Orlicz-fractional maximal operators on weighted $L^{p}$ spaces2018

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Iida
    • 学会等名
      実解析シンポジウム2018
  • [学会発表] Orlicz-fractional maximal operators on weighted $L^{p}$ spaces2018

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Iida
    • 学会等名
      日本数学会秋季総合分科会 実函数論分科会

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公開日: 2019-12-27  

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