研究実績の概要 |
半線型熱方程式の大域可解性について研究を行なった.べき乗型の非線形項に対しては,滑らかで十分小さな初期値に対して有限時刻爆発が起こる場合と,時間大域的に解が構成できる場合を分ける閾値,いわゆるFujita指数が求められている.べき乗型とは限らない一般の凸単調増加な非線形項に対しては,Fujita指数に相当する量は未解明であった.本研究では,これまでの研究で得た凝スケール不変構造を用いてこれを同定した. 具体的には,非線形項の0近傍での挙動が即時爆発または局所可解性の閾値を与え,非線形項の無限大での挙動が有限時刻爆発と時間大域可解性の閾値を与えることを証明した. 得られた結果は Y. Fujishima and N. Ioku, Global in time solvability for a semilinear heat equation without the self-similar structure, Partial Differential Equations and Applications, 3 (2022), no. 2, Paper No. 23. に掲載済みである. 本研究で用いた凝スケール不変性は,一般の非線形項が持つ増大度をベキ乗関数で近似した際の第一近似を抜き出すものになっている.そこで現在は,第二次近似に相当する量(例えば対数関数のべき乗)を抜き出す方法について研究し,それを用いて解の一意性・非一意性問題の解決を試みた.
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