研究実績の概要 |
本研究の主テーマである禁止グラフ条件と関連する内容について,以下の研究を実施し,成果が得られた. 1.【禁止グラフ条件を見たすグラフの個数】既存研究として,「それを満たす3-連結グラフが有限種類となる」ような禁止グラフ条件が,ハミルトン閉路的問題に関連するものとして注目されてきた.本研究ではその類似として,連結{C_3,C_4,T}-フリーグラフで最小次数が3以上のものが有限種類となるようなグラフTに着目し,その中でも直径が大きい非キャタピラな木となるものを特徴付けることに成功した.この結果はグラフ彩色問題に関連するものであり,Gyarfas-Sumner予想というグラフ彩色に関する有名な未解決問題と同値命題であるChudnovsky-Seymour予想の部分的解決を与えた.また,{C_3,C_4,P_9}-フリーグラフの彩色数の決定をO(n^2)程度で行えるアルゴリズムを与えることにもなる.現在はこの戦略が適用される場合の特定を目指した研究を行っている. 2.【グラフの禁止条件と不変量】2018年度に,どのような禁止グラフ条件を課すことで支配数を定数で上から評価出来るようになるかという問題の完全解決を行った.この問題は支配数に特化したある種のラムゼー型問題を与えるものである.2019年度は韓国の研究グループと共にマッチングや独立数などに関しても同様の成果を上げることが出来た.特に,不要な頂点の除去や,頂点に順序を付けた上でのラムゼーの定理の適用など,禁止グラフ条件問題への新たな手法を考案出来た.
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