研究課題/領域番号 |
18K13454
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佃 康司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任講師 (30764972)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 統計モデル / 確率分割 / 確率過程 / 統計的漸近理論 / 適合度検定 / 無限次元空間における弱収束 |
研究実績の概要 |
本研究では,多様性を表現するモデルとして用いられる確率分割のモデルを主な対象として,既存のモデルに対する数学的な検討を行うこと,新しいモデルの開発を行うことを主な目的として研究を進めている.また,研究課題に関連するような確率過程や多変量統計モデルの推測法に関する研究を進めている. 既存の確率分割モデルに対する検討について,基本モデルであるユーエンス抽出公式およびその一般化であるピットマン抽出公式について研究を進めた.ユーエンス抽出公式に従う確率分割の長さを正規分布で近似したときの誤差を評価する研究について,前年度に発表した国際ワークショップの会議録へ投稿して掲載が決定した(まだ論文が公開されていないため研究成果には含めていない)ほか,学会で発表した.以前より進めている,ピットマン‐ヨー過程を事前過程として用いた場合の事後過程の性質を調べる研究を進展させ,研究集会で発表した.以前より進めているディリクレ多項モデルを応用した判別分析の研究について,前年度に投稿していた論文の査読結果が出て必要な改訂を行ったうえで再投稿を行い掲載が決定した(まだ論文が公開されていないため研究成果には含めていない). 新しいモデルの開発については,前年度に検討したモデルについて研究を進めたが,言及するほどの進展は得られなかった. 確率過程の推測の研究として,前年度に開発した非線形拡散過程と非線形自己回帰モデルに対する適合度検定法について論文を改訂したたほか,国際会議で発表した.また,以前に開発した拡散過程に対する変化点が存在するかを検定する方法について国際会議で発表した. 多変量統計モデルの推測の研究として,前年度に論文誌に掲載された高次元確率ベクトルの共分散行列の比例性を検定する方法について検討を進め,前年度の成果とあわせて学会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は,確率分割モデルについては,まずは「既存のモデル」についての数学的検討を進め,「新しいモデル」を開発する計画であった.また,関連するモデルについて研究する計画であった. このうち,既存モデルの数学的検討や関連するモデルについての研究については2019年度も順調に成果をあげ,2編の論文が学術誌・会議録に掲載されることが決定したほか,学会・国際会議・研究集会で発表した. 一方,新しいモデルの開発については,研究を進めているが今年度も目立った成果を挙げられなかった.進捗が遅れている理由としては,主に次の二点がある:新しいモデルの性質を調べるにあたって当初の想定を超える困難があること,新しいモデルの性質を調べる過程で既存モデルについての性質について調査が必要になりまずはそちらを進めていること,である. 以上の理由から区分は「やや遅れている」とした.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2020年度も「既存のモデル」に関する数学的検討と「新しいモデル」の開発,関連するモデルについての研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
約79000円の次年度使用額が生じた.この主な理由には,当初の予定に比べて物品費(特に,コンピュータを購入するために計上していた費用)が低かったことがある.この未使用額は2020年度の助成に加算して使用する.
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