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2021 年度 実施状況報告書

基本解近似解法による流体現象の高精度数値解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K13455
研究機関岡山理科大学

研究代表者

榊原 航也  岡山理科大学, 理学部, 講師 (30807772)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード基本解近似解法 / Hele-Shaw問題 / 磁性流体 / 点渦力学系 / 極小曲面
研究実績の概要

本研究課題では,ポテンシャル問題に対する高精度解法として知られている基本解近似解法をHele-Shaw問題に代表される移動境界問題,ならびに極小曲面上の点渦力学系に対する数値計算スキームを構築し,それに基づいた数理解析を行うことを目標としている.本年度は,以下のような結果を得ることができた.
(1)矢崎成俊氏(明治大学),ならびに矢崎研究室の博士課程学生の下地優作氏との共同研究により,以前構築したHele-Shaw問題に対する構造保存型数値計算法のアイディアを拡張し,磁性流体に対するHele-Shaw型モデルを考察し,体積保存条件を満たす数値計算スキームを構築した.また,特異点の選び方を従来の方法から変更することにより,より安定に計算できるようになった.本研究内容は論文としてまとめており,現在,投稿中である.
(2)点渦力学系については,清水雄貴氏(東京大学)との共同研究により,複素解析による新たな定式化を行い,基本解近似解法による簡便な数値計算を誤差評価付きで可能とした.本研究内容は,現在,論文にまとめているところである.
上記研究課題以外にも,俣野博氏(明治大学),奈良光紀氏(岩手大学),森洋一朗氏(ペンシルベニア大学)との共同研究により,鋭敏な界面を持つバイドメインモデルの解の漸近挙動を,数値分岐解析込みで詳細に調べることを可能にする数値計算スキームを開発し,今まで知られていなかった解の漸近挙動を数値的に明らかにした.本研究内容は,既に論文として出版されている.
さらに,理論的側面として,悪条件性を緩和した基本解近似解法の数学解析に成功した.これは,より数値的に安定な,Hele-Shaw問題の数値実験を可能にしうることを示唆している.本研究内容についても現在,論文を執筆中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウイルスの影響が残る1年であったが,オンラインツールを使いつつ,感染が落ち着いているときには出張して集中的に議論することにより,着実に研究成果をあげることが出来た.特に,極小曲面の数値計算手法を確立することが出来たため,次年度は,極小曲面上の点渦力学系の数値解析に本格的に取り組むことができる.

今後の研究の推進方策

悪条件性を緩和した基本解近似解法の数学解析を行なった論文を早急にまとめ,これに基づいた新たな数値計算スキームを構築し,縦置きHele-Shawセル内を浮上する泡の数値解析などを遂行する.点渦力学系については,極小曲面の数値解析論文を仕上げ,それに基づいて極小曲面上の点渦力学系の数値解析を遂行する.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの蔓延に伴い,予定していた国内外の出張が軒並み中止となったために,次年度使用額が生じてしまい,研究計画自体も1年延長した.今年度は,ワクチン接種が進んだことにより出張も徐々にできるようになっているため,積極的に共同研究ならびに情報収集を行うために使用する予定である.

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] The University of Pennsylvania(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      The University of Pennsylvania
  • [雑誌論文] Asymptotic Behavior of Fronts and Pulses of the Bidomain Model2022

    • 著者名/発表者名
      Matano Hiroshi、Mori Yoichiro、Nara Mitsunori、Sakakibara Koya
    • 雑誌名

      SIAM Journal on Applied Dynamical Systems

      巻: 21 ページ: 616~649

    • DOI

      10.1137/21M1416904

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] バイドメインモデルのフロント解・パルス解の漸近挙動の数値的考察2022

    • 著者名/発表者名
      榊原 航也
    • 学会等名
      第35回さいたま数理解析セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] バイドメインモデルのフロント解とパルス解の漸近挙動2022

    • 著者名/発表者名
      榊原 航也
    • 学会等名
      第124回北大MMCセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] バイドメインモデルにおける解の漸近挙動の数値解析2022

    • 著者名/発表者名
      榊原 航也,奈良 光紀,俣野 博,森 洋一朗
    • 学会等名
      日本応用数理学会第18回研究部会連合発表会
  • [学会発表] 悪条件性を緩和した基本解近似解法の円板領域での数学解析2022

    • 著者名/発表者名
      榊原 航也
    • 学会等名
      北陸応用数理研究会2022
    • 招待講演
  • [学会発表] 変形する自己駆動系に対する界面モデルの数値計算2022

    • 著者名/発表者名
      榊原 航也,長山 雅晴,物部 治徳
    • 学会等名
      日本数学会2022年度年会
  • [学会発表] バイドメインモデルにおけるフロント解・パルス解の漸近挙動2021

    • 著者名/発表者名
      榊原 航也
    • 学会等名
      第92回京都駅前セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] 幾何学流の数学・数値解析:構造保存型数値解法とSobolev勾配流2021

    • 著者名/発表者名
      榊原 航也
    • 学会等名
      日本応用数理学会「若手の会」第2回若手研究交流会
  • [学会発表] バイドメインモデルにおける解の漸近挙動2021

    • 著者名/発表者名
      榊原 航也,奈良 光紀,俣野 博,森 洋一朗
    • 学会等名
      日本数学会2021年度秋季総合分科会
  • [学会発表] 基本解近似解法を用いた磁性流体のHele-Shaw問題に対する数値計算2021

    • 著者名/発表者名
      榊原 航也,下地 優作,矢崎 成俊
    • 学会等名
      日本数学会2021年度秋季総合分科会
  • [学会発表] Numerical study on front and pulse solutions in the bidomain model2021

    • 著者名/発表者名
      Koya Sakakibara
    • 学会等名
      RIMS International conference "Modeling and Mathematical Analysis of Dynamics of Patterns"
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 基本解近似解法を用いた磁性流体のHele-Shaw問題に対する数値計算2021

    • 著者名/発表者名
      榊原 航也,下地 優作,矢崎 成俊
    • 学会等名
      2021年度応用数学合同研究集会
  • [学会発表] バイドメインモデルにおけるフロント解・パルス解の漸近挙動の数値解析2021

    • 著者名/発表者名
      榊原 航也,奈良 光紀,俣野 博,森 洋一朗
    • 学会等名
      日本応用数理学会環瀬戸内応用数理研究部会第25回シンポジウム
  • [備考] 榊原航也の個人Webページ

    • URL

      https://sites.google.com/site/koyasakakibara/home/

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公開日: 2022-12-28  

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