研究課題
若手研究
本研究では、角度や時間のように周期性のある現象に着目したデータに対して幅広い統計解析を可能とするための確率モデルを構成した。具体的には、現象の発生傾向に柔軟に対応できる円周上分布、大きな観測値の発生を想定に入れた分析が可能なシリンダー上分布、計算コストの少ないトーラス上分布の構成法を提案した。これらの確率モデルを、地震発生データや2組のバクテリアゲノムの共通遺伝子位置に関するデータへ当てはめることで、地震発生傾向の推測やバクテリアの共通性に関する考察を得ることができた。
統計科学
動物の移動方向や風向などの周期性のある現象に関するデータは、正規分布やポアソン分布のように直線上で定義される確率分布ではなく、円周上で定義される確率分布を用いて解析を行う必要がある。生態・環境科学分野ではこのようなデータが多くみられる。本研究で提案した柔軟かつ情報損失の少ない円周上分布、トーラス上分布、シリンダー上分布を用いることで、適切な生態動向推定や自然環境予測が可能となることが期待される。