局所的熱平衡の仮定を超えて実在気体・液体中の非平衡現象を理解することを目的に、拡張された熱力学(RET)に基づく理論の構築とその超音波伝播解析への応用を行った。主に次の成果を得た。 (1) 体積粘性が支配的な役割を果たす多原子分子実在気体を記述するRETを構築した。閉じた場の方程式系の特性速度も導出した。特に、van der Waals気体に対して、特性速度の取りうる範囲や密度・温度依存性を明らかにした。 (2) (1)で求めた理論を用いて超音波の分散関係を解析した。特に、二酸化炭素液体中の音波吸収の実験結果を従来の流体力学に比べてよく再現できることを明らかにし、理論の妥当性を示すことに成功した。
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