研究実績の概要 |
光周波数分周は電気信号で広く用いられる周波数分周の技術を光の領域に拡張した技術である。光周波数分周によって光周波数は厳密に整数比に分割され、絶対位相を含めて位相がそろった高調波光系列(1w, 2w, 3w ..., w~100 THz)が形成される。これらの位相同期高調波光の位相と振幅を自由に操作することで、100 THzを超える非常に高い繰り返しレートを持った任意の光振幅波形(光電場・磁場)を連続的に生成できる。本研究は任意光波形の連続生成技術の基盤を確立し、さらにこの技術を応用して荷電粒子の連続的で超高速な操作に応用することを目標としている。 任意光波形生成系は位相同期高調波光の生成、位相・振幅の操作、光振幅波形の決定、3つの部分で構成される。位相同期高調波の生成と高調波光の位相・振幅操作については既に構築している。これに加えて絶対位相を含めた光位相関係を測定するシステムを構築し、光波形を決定した。高調波光間の和周波同士(6w=1w+5w, 2w+4w,3w+3w, 7w=2w+5w, 3w+4w)の干渉によって高調波間の相対位相を決定し、これに加えて和周波光(4w=1w+3w)と高調波光自身(4w)の干渉を観測することで絶対位相を含めて光位相を一意的に決定するシステムを構築した。また、位相測定には高い光パワーが必要であるため、より高パワーが生成できるように位相同期高調波光生成システムを改良した。 saw tooth, sine pulse, cosine pulseを光波形のターゲットとして光位相・振幅を操作した。光位相・振幅の測定結果から光波形を再構築した結果、ターゲットとした位相振幅関係を仮定した場合の光波形とほぼ同等の光波形が得られた。光位相関係は測定時間の30分程度ほぼ安定していたことから、十分に実用的なレベルで任意光波形の連続生成技術を確立できたといえる。
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