研究実績の概要 |
ダイヤモンド中の窒素空孔センタ(NVセンタ)は量子情報素子や磁気センサの有望な候補となっている.NVセンタのスピン状態の読み出しは光によるものがほとんどであるが電流検出等に向けてNVセンタのもつ情報をカーボンナノチューブ(CNT)に移すエネルギー移動が起こるのかどうかの検証を行った。昨年度まででナノダイヤモンド孤立散布の条件等をだしたが、今年度は実際にエネルギー移動が起こらない石英基板上と石英基板上のCNT薄膜の上に散布したナノダイヤモンド中のNVセンタでの比較を試みた。エネルギー移動が起こる分子からの蛍光はエネルギー移動が起こっていない場合に対して蛍光となるべきエネルギーが別の分子(この場合CNT)に吸収されるため減少する。また、蛍光寿命が短くなる蛍光寿命は励起レーザーパワーを1 mW,2 mW,5 mW,10 mWに変えた時のアンチバンチングの計測結果より見積もった。 NVセンタの蛍光強度は10~18 kcps,蛍光寿命は8~10ns程度となった。CNT薄膜上ではCNTの発光のため蛍光寿命と蛍光強度を正確に見積もることができていない。CNTの蛍光波長は特定されているためフィルター等で取り除いたうえで実験することが必要であるとわかった。また、CNTの物性計測をNVセンタで行う実験にも取り組んだ。具体的には,優れた熱電特性が報告されている CNT 等ナノスケール材料の熱電特性を,ダイヤモンド中の窒素空孔欠陥(NV センタ)による温度センサによって測定する技術の開発を行った。
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