固体中の電子はクーロン相互作用によって互いに影響を及ぼしあっており、個々の粒子の性質からは想像できない多彩な協力現象を生み出す。その一例は自発的対称性の破れをともなう電子系の秩序化である。本研究では通常の電子秩序とは質的に異なる、電子相関の効果から生まれる新しい電子秩序に着目した。それを個々の現実系に即して議論するためには、物質の持つ複雑な特性を詳細に考慮する必要がある。本研究では非従来型の軌道秩序や超伝導状態について、現実物質の特徴を取り込んだ解析を行い、多軌道強相関系に特有の電子秩序に関する物性を明らかにした。
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