研究課題
若手研究
近年提唱されたフォノン角運動量という概念は、フォノンに対する擬スピンとしての役割を果たす。この概念を積極的に取り込めば電子系との類推から様々な新奇フォノン物性が予想される。本研究では、この概念を鍵として空間反転対称性の破れたキラル磁性体におけるフォノン版ラシュバ状態の観測、時間反転対称性の破れたTb酸化物におけるフォノンのホール効果、更には時空間の対称性が同時に破れたマルチフェロイク物質における熱流非相反性を実現した。
磁性
本研究によりフォノン角運動量という概念が新奇フォノン物性の理解に極めて重要であることを示した。また、本研究を基軸として例えばトポロジカルなフォノン状態など、いくつもの新奇物性を開拓する道筋が示された。これらの成果によって将来的には新機能を備えた音波や熱デバイスの実現へと繋がると期待される。