• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

精密磁気トルク測定による高温超伝導揺らぎの研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K13501
研究機関神戸大学

研究代表者

高橋 英幸  神戸大学, 先端融合研究環, 助教 (10759989)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード超伝導揺らぎ / 鉄系超伝導体 / 磁気トルク
研究実績の概要

鉄系超伝導体FeSe単結晶の磁気トルク測定を行った。FeSeはフェルミエネルギーに対して超伝導ギャップが異常に大きく、BCS-BECクロスオーバー領域にある超伝導体として注目されている。マイクロカンチレバー(0.2N/m)と光干渉変位検出を組み合わせた手法を用いた。この手法により市販のピエゾ抵抗型カンチレバーでは難しかった、1テスラ以下の磁場領域での精密測定と、全磁化信号からの揺らぎ信号の正確な抽出が可能になった。
結果、以下のことが明らかになった。FeSeの超伝導揺らぎ由来の磁化変化は、強磁場領域で大きくなり、10テスラの磁場では超伝導転移温度の約1.6倍の温度から観測された。これは過去に銅酸化物超伝導体で観測されている振る舞いと定性的に近い。先行研究ではBCS-BECクロスオーバーによる巨大な超伝導揺らぎ(最大で全磁化の10%程度)が観測されたとの報告もなされていた。しかし、我々の結果では揺らぎ磁化は最大でも全磁化の0.5%であった。FeSeのギンツブルグ数が0.1のオーダーであることを考慮すると、GL理論でも説明が可能である。
今後、測定を他の物質に拡張していくにあたり、新たな手法開発を進めている。マイクロカンチレバーと光干渉変位検出を組み合わせた方法は、強磁場では技術的な困難が生じる場合があるので、その点をクリアするために、メンブレン型デバイスによるトルク測定法を新たに導入することを計画している。現在、カンタムデザイン社のPPMS内で測定できるように調整している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の大きな目的の一つであった、ミリテスラの低磁場領域での磁気トルク測定に成功し、鉄系超伝導体の超伝導揺らぎに関して信頼性の高いデータが得られた。

今後の研究の推進方策

今後は、FeSeに化学置換を施した試料や、薄膜試料の測定へと展開していく。この系は、化学置換・圧力効果・薄膜化・インターカレーションなどにより大きく上昇し、超伝導状態の性質にも変化があらわれることがわかっている。これらの特徴が発現する理由を超伝導揺らぎをプローブとして明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Superconducting fluctuations in FeSe investigated by precise torque magnetometry2019

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Hideyuki、Nabeshima Fuyuki、Ogawa Ryo、Ohmichi Eiji、Ohta Hitoshi、Maeda Atsutaka
    • 雑誌名

      Physical Review B

      巻: 99 ページ: 060503/1-5

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.99.060503

    • 査読あり
  • [学会発表] 光干渉変位検出方式のカンチレバー磁化測定によるFeSeの超伝導揺らぎ磁化の評価2018

    • 著者名/発表者名
      高橋英幸, 大道英二, 太田仁, 小川亮, 鍋島冬樹, 前田京剛
    • 学会等名
      日本物理学会2018年秋季大会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi