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2021 年度 実施状況報告書

イオン液体の示すメソスケール協同現象の計算科学研究:遅い緩和と界面ゆらぎ

研究課題

研究課題/領域番号 18K13513
研究機関東京大学

研究代表者

芝 隼人  東京大学, 情報基盤センター, 特任講師 (20549563)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードイオン液体 / 回転緩和 / 分子動力学 / Stokes-Einstein-Debye則
研究実績の概要

本年度は、過冷却状態にあるアルキルイミダゾリウムイオン液体における並進・回転運動のカップリング関係について、昨年度までに得られた成果の取りまとめを行った。この論文の取りまとめの過程において、アルキル鎖配向の時間発展が、アルキル鎖長に大きく定性的影響を受けることが判明した。アルキル鎖長が短い時には、分子配置の変化と同時に大角度での回転が起きる。他方、鎖長が大きくなると、この運動が拡散的な運動に移行し、回転デバイ則を回復する。この系ではカチオンの極性部・非極性部同士が互いに集合することによってドメインを形成することによって立体運動が阻害され、このことが大角度ジャンプ運動を禁止する原因になっていると推測される。実際に、この立体障害の中での一分子運動の様子を可視化する形で説明を施した。また、通常の非荷電のガラス形成液体とは異なって、Stokes-Einstein (SE) 則が高温領域でも破れており、緩和時間と粘性の比例関係の仮定が成立しないことを明らかにした。また、そのもとでSE則および Stokes-Einstein-Debye則の破れの解析を行った。以上の結果は原著論文として投稿中であるが、査読に時間を要しており、出版は2022年度に繰り下げとなっている。
また、イオン液体を含むガラス形成液体にみられる類似した速度の時間相関解析および応力緩和の低温・長時間での解析を、前年度から継続して実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「研究実績の概要」に記述した新たな発見内容を含めて原著論文を昨年度執筆、2021年9月に投稿した。内容面に対する指摘があったことと併せ、コロナ禍の影響により査読プロセスが長期にわたったことにより、2021年度内での成果の出版が可能とはならなかった。他の共同研究者との打ち合わせなどもコロナ禍の影響などを受けて遅れている。

今後の研究の推進方策

本課題につしての成果発表を完了するために、課題を2022年度に延長した。投稿中論文の査読コメントへの対応をした上で再投稿・出版を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

「7. 現在までの進捗状況」欄において記したように、成果となる論文が投稿中の状況であり、投稿関連費用および共著者との連絡にかかる費用として次年度に繰越を行った。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] 中南大学(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      中南大学
  • [学会発表] Local density fluctuation governs the divergence of viscosity underlying elastic and hydrodynamic anomalies in a 2D glass-forming liquid2021

    • 著者名/発表者名
      Hayato Shiba
    • 学会等名
      11th Liquid Matter Conference
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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