研究課題/領域番号 |
18K13516
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藪中 俊介 九州大学, 理学研究院, 助教 (60749852)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アクティブマター / 細胞組織 / 増殖 / ソフトマター |
研究実績の概要 |
細胞組織は、(a)細胞がエネ ルギーを消費しながらアクティブなストレス(収縮力)を発生させる、(b)細胞の運動、(c)細胞極性、細胞の変形などの異方性 、(d)細胞増殖と細胞死といった、これまでのソフトマター 物理で取り入れられていない特徴を持つ。本年は、このような特徴を記述する連続体方程式の構築を目指し様々な考察を行った。 まず、申請者がPhilippe Marcq氏と構築した1次元での細胞変形の異方性を含まない方程式を2次元、3次元で再定式化した。その後、東京大学の石原秀至氏らによりなされた細胞変形の理論的取り扱いと組み合わせることを目指して、石原氏らの理論を境界を含んだものに拡張するため、Phase filed modelとして取り扱うことを考えた。この問題に関し、キュリー研究所、東京大学を訪問し、Philippe Marcq氏、石原秀至氏らと議論を行い、現在理論を開発中である。 このような理論を開発することにより、研究計画で述べたショウジョウバエの発生過程で詳しく観測されている背側閉鎖(dorsal closure)に加え、将来的には、組織の界面の不安定化、揺らぎ、また異種の細胞を混合した際に起こる、細胞競合現象を連続体理論の立場から議論することを考えている。 また、ソフトマター物理学の研究も進め、臨界流体中でコロイド粒子の吸着層の変形によりストークス則がどのように補正を受けるかについて研究を行い、実験的に見られている相関長に線形に補正が加わる結果を再現できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
広い意味で関連するソフトマター 、相転移理論に関しては研究成果が得られたものの、細胞組織の理論的取り扱いに関しては、Phase field modelの定式化でいくつかの困難があるため。
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今後の研究の推進方策 |
Philippe Marcq氏、石原秀至氏らとの議論を進め、液晶や泡など関連するソフトマター 物理の研究も参考にしながら、連続体理論の完成を目指す。
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