微細構造を精緻にデザイン可能なシェルとしたシェル構造の集合体の力学応答を実験的に明らかにすることを目的として研究を行い,論文を出版した.シェル集合体の負荷除荷サイクル試験のシミュレーションと実験を比較する過程で,シェル同士は複雑に力を及ぼしあうことがわかった.昨年度は2つのシェルを対称軸を合わせた状態で押し付け合った際にType I とIIの2種類のはめあいモードがあることを発見した.集合体を圧縮するとシェルはランダムに配列されているため,シェル同士が転がり合うモードが見られた.集合体の力学特性を予測するためには転がりモードの力学特性を調査する必要があることがわかった.
メカニカルメタマテリアルの例の一つとして折り紙が挙げられる.本研究の対象とする乱れたメカニカルメタマテリアルの例として,折り紙に対する力学試験を実施した.折り紙の最も単純な形状である角錐を取り上げた.近年、円錐形のシェルに鉛直方向から撃力を加えると、同様のパターンがロバストに出現することがGottesman(2018)らによって報告された.彼らの研究によると、出現するダイヤモンドの法線方向の長さと、円錐の頂点からの距離に相関関係があることが分かっているが、ダイヤモンドパターンを発生させるメカニズムは完全には理解されていない. 本研究では、点欠陥に加えて線欠陥にも着目し、同様の撃力を加えて破断させ、どのようなパターンが出現するかを調べた.実験の結果、角錐は円錐よりも速く座屈することに加え、撃力を与えた際により転倒しやすいことが示唆された. 角錐は、撃力の作用点付近で起こるローカルな変形に加えて、作用点から離れた点で起こるノンローカルな変形も観察された.ノンローカルな変形はGottesmanの先行研究では報告されておらず、新しい変形モードとみなせる可能性がある.
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