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2018 年度 実施状況報告書

動脈硬化症を誘発するマクロファージ内脂質蓄積化メカニズムの新シナリオ

研究課題

研究課題/領域番号 18K13521
研究機関国立研究開発法人海洋研究開発機構

研究代表者

下林 俊典  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 数理科学・先端技術研究分野, 研究員 (50787124)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード脂肪滴 / 相転移 / ソフトマター
研究実績の概要

本研究では、細胞内でみられる脂肪滴というオルガネラの内部で起こる液体液晶相転移現象に着目し、1)相転移ダイナミクスとその後の構造の物理的解明、更には2)相転移現象とマクロファージ泡沫化現象との因果関係の解明を目指す。今年度においては、脂肪滴の液体液晶相転移後にみられる構造に着目し、その物理的な解明を行った。具体的な成果としては、まず脂肪滴でみられる液体液晶転移を様々な培養細胞を用いてその普遍性を調べた。結果、HeLa細胞, COS細胞, MEF細胞,Huh7細胞など様々な細胞種で普遍的に液体液晶転移がみられることを見出した。また、偏光顕微鏡観察より脂肪滴内部の脂質分子は放射線状に並んでいることがわかった。これらの構造がどのような物理化学的なメカニズムで形成されるかを調べるために、試験管内で脂肪滴を構成する脂質と界面活性剤を用いて人工的に脂肪滴を再構成した。結果、興味深いことに人工脂肪滴の内部構造はサイズ依存的に転移することが見出された。細胞内の脂肪滴程度のサイズでは細胞内と同様の放射線状の構造がみられたが、70um程度を境にポリドメイン状の構造へと転移することがわかった。この転移がなぜ起こるのか、そのメカニズムを空間的に拘束された液晶理論を用いて解明した。結果、細胞内脂肪滴で脂質分子が放射線状に並ぶ理由は脂肪滴界面でのアンカリングがサイズが小さくなることで内部の弾性エネルギーに比べて相対的に大きくなるからであると結論づけた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通りに今年度の成果は論文にまとまっている。

今後の研究の推進方策

今後は脂肪滴でみられる液体液晶転移現象の普遍的理解をさらに発展させるとともにその制御技術の確立を目指す。更には、医学領域の研究者との共同研究を重視し、液体液晶転移現象とマクロファージの泡沫化現象との因果関係の手がかりを探っていきたい。

次年度使用額が生じた理由

今年度購入予定であった蛍光相関測定用の物品の購入費が少なく済んだため。また学会発表を行わなかったため、その旅費が不要となった。研究の進展状況より共同研究を開始するため、その旅費として使用する。

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公開日: 2019-12-27  

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