研究課題
本研究の目的は、天体磁気圏が高ベータプラズマを自発的に閉じ込めるメカニズムを解明するため、RT-1装置を用い自発的に形成される高ベータプラズマの熱・粒子特性を明らかにすることである。局所電子温度・密度分布を非接触・不干渉かつ幅広い温度密度領域で計測できるレーザートムソン散乱計測やイメージング計測のトモグラフィー法は、本研究目的である、高ベータプラズマの局所計測を基にした輸送の議論に最適である。本研究により内向き拡散のメカニズムについて以下に示す2つの新しい知見を得られた。(i)トムソン散乱計測による局所温度・密度計測や、深層学習を用いたトモグラフィ法をライン比分光イメージング計測に適用し、内向き拡散により自発的に形成されるピークした密度分布を詳細に可視化した。内向き拡散によりコイル付近の高磁場領域にピークした密度分布が形成されていることが明らかになった。(ii)放電中に中性ガスを入射することで、ピークした密度分布が再構成される際に低周波揺動が励起されることを発見し、揺動の時空間構造の詳細計測から以下の3点が明らかにした。(1)内向き拡散中には1kHzの電子反磁性方向に伝搬する揺動が発生し、内向き拡散が終了しピークした密度が形成された後は1kHzの揺動は消え、イオン反磁性方向に伝搬する0.7kHzの揺動が支配的になる。(2)電子密度の上昇に伴い、低周波揺動の強度とトロイダル方向の位相速度が上昇するが、プラズマ圧力への依存性は低いことから、低周波揺動を駆動する自由エネルギーは密度分布の再構築であることが示唆された。(3)揺動の伝搬方向が密度分布形状に依存することから、ドリフト波不安定性との関連が示唆される。令和4年度は、本研究成果を発展させるため、プラズマフローのアクチュエーターとしてRT-1装置へのプラズモイド入射のためのプラズマガンの設計・製作も進めた。
第17回日本物理学会若手奨励賞受賞受賞タイトル「磁場閉じ込めプラズマの非局所輸送に関する実験的研究」
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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