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2018 年度 実施状況報告書

プラズマの断続照射がタングステンの水素同位体吸蔵特性に与える影響とその機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K13527
研究機関九州大学

研究代表者

大宅 諒  九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (10804750)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードタングステン / 水素同位体吸蔵 / 断続照射
研究実績の概要

本研究ではタングステン材料表面および堆積層中の水素同位体挙動に注目し、断続照射がタングステン表面近傍の水素同位体吸蔵特性に与える効果とその要因を詳細に検討することを目的とする。そのために、(1)タングステン材料表面における超高密度状態の水素同位体挙動の研究、(2)多層構造化したタングステン堆積層における水素同位体挙動の研究、(3)核融合実験装置を用いた実機の水素同位体蓄積の研究、を行う。平成30年度は、シミュレーションによる実験結果の考察と、分析装置及び実験装置の整備を行った。
シミュレーションによる実験結果の考察については、(1)の研究を推進することを目的として、材料中の水素輸送に関するシミュレーションコードを用いて、断続照射時の水素同位体吸蔵量を計算して過去の実験結果と比較した。その結果、シミュレーション計算で実験結果を再現することが難しいということが分かった。このことから、断続照射の際には、従来の水素輸送モデルでは説明できない物理が存在することが明らかとなった。
分析装置及び実験装置の整備については、まず、分析装置として(1)~(3)の全ての研究で使用予定である、昇温脱離装置の整備を行った。特に(2)及び(3)の研究では、プラズマ装置の都合上、軽水素の吸蔵特性を測定する必要がある。そのため、脱離した軽水素を精度良く測定することを目的として、昇温脱離装置を超高真空状態に維持するための改良を行った。昇温中に試料の温度を測定する機構も導入した。また、(3)の研究で使用予定である、九州大学応用力学研究所の長時間放電型核融合実験装置QUESTの高速試料搬送装置の整備も行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、(1)タングステン材料表面における超高密度状態の水素同位体挙動の研究、(2)多層構造化したタングステン堆積層における水素同位体挙動の研究、(3)核融合実験装置を用いた実機の水素同位体蓄積の研究、を行う。
(1)の研究を推進することを目的として、材料中の水素輸送に関するシミュレーションコードを用いて、断続照射時の水素同位体吸蔵量を計算した。シミュレーション計算の結果から、過去に行った実験の結果を説明することが難しいということが分かった。このことから、断続照射の際には、従来の水素輸送モデルでは説明できない物理が存在することが明らかとなった。この結果は、今後のプラズマ照射実験を行う際の実験計画に生かされる。
(1)~(3)の研究で使用予定である、実験装置及び分析装置の整備を行った。特に(2)及び(3)の研究では、軽水素の吸蔵特性を測定する必要があるため、軽水素ガスを精度良く測定することを目的として、昇温脱離装置を超高真空状態に維持するための改良を行った。また、(3)の研究で使用予定である、九州大学応用力学研究所の長時間放電型核融合実験装置QUESTの高速試料搬送装置の整備も行った。今後、これらの装置を活用して、実験を行う。

今後の研究の推進方策

断続照射がタングステン表面近傍の水素同位体吸蔵特性に与える効果とその要因を詳細に検討することを目的として、本研究を進める。
(1)タングステン材料表面における超高密度状態の水素同位体挙動の研究については、国内外の高フラックス線形プラズマ照射装置を用いて、断続照射が水素同位体吸蔵特性に与える影響を系統的に調べる実験を行う。水素同位体吸蔵量の測定には、平成30年度に整備した昇温脱離装置を用いる。
(2)多層構造化したタングステン堆積層における水素同位体挙動の研究については、九州大学の高周波プラズマスパッタリング装置を用いて、堆積層を形成する。平成30年度に整備した昇温脱離装置を用いて、軽水素の吸蔵特性を精度よく測定する。
(3)核融合実験装置を用いた実機の水素同位体蓄積の研究については、九州大学応用力学研究所の長時間放電型核融合実験装置QUESTの高速試料搬送装置の改良を引き続き行い、信頼性のある実験を行うことができる環境を整備する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、今後の実験研究を精度よく効率よく推進するために、実験・分析装置の整備とシミュレーション計算を中心に研究を行った。
実験・分析装置の整備では、既存の装置の改良を中心に行っていたが、本年度の初めに予定したよりも非常に円滑に実施することができたため、次年度使用額が生じた。今後、これらの実験・分析装置を有効に活用して実験を行う計画であり、その際の実験試料の購入や国内外への出張実験のために次年度使用額を使用する予定である。
シミュレーション計算についても、既存のワークステーションを中心に行ったため、次年度使用額が生じた。この結果は今後のプラズマ照射実験を行う際の実験計画に生かされ、国内外への出張実験のために次年度使用額を使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Deuterium retention in neutron irradiated tungsten-rhenium alloy and potassium-doped tungsten2018

    • 著者名/発表者名
      M. Oya, H.T. Lee, T. Yamane, A. Nakamura, H. Ito, T. Kuwabara, M. Yajima, T. Toyama, K. Suzuki, M. Takagi, N. Ohno, Y. Ueda, Y. Hatano
    • 学会等名
      23rd International Conference on Plasma Surface Interactions in Controlled Fusion Devices
    • 国際学会
  • [学会発表] 中性子照射されたW-Re合金とK-doped Wの水素同位体吸蔵特性2018

    • 著者名/発表者名
      大宅諒, Lee Heun Tae, 中村揚, 伊東英貴, 桒原竜弥, 矢嶋美幸, 外山健, 鈴木克弥, 高木誠, 大野哲靖, 上田良夫, 波多野雄治
    • 学会等名
      第12回核融合エネルギー連合講演会

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公開日: 2019-12-27  

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