研究課題
本研究ではタングステン材料表面および堆積層中の水素同位体挙動に注目し、断続照射がタングステン表面近傍の水素同位体吸蔵特性に与える効果とその要因を検討することを目的としている。今年度は、特に、材料中の水素輸送コードを用いた水素同位体吸蔵特性の評価を中心に、断続照射の効果とその要因について研究を行った。前年度開発した、断続照射時の材料中の水素輸送に関するシミュレーションコードを用いて、研究代表者らが以前行った重水素プラズマ断続照射実験を模擬して、タングステン中の重水素挙動を評価した。実照射条件や試料温度の時間変化を考慮した計算により、断続照射中の材料の動的な重水素吸蔵特性を推察した。また、照射後行われた重水素吸蔵特性の測定結果と比較して、重水素を吸蔵する捕捉サイトの密度や深さ、脱捕捉の活性化エネルギーを評価した。その結果、活性化エネルギーの異なる二種の捕捉サイトが関与すること、また、断続照射による影響は主に低エネルギーの捕捉サイトに表れ、捕捉された重水素の密度が減少していることが明らかとなった(この捕捉サイトと表面に形成されるブリスタ等との関係が推察される)。さらに、前年度行った照射損傷を与えたタングステンのプラズマ照射実験についても、このコードを用いて重水素吸蔵特性を解析し、照射損傷の影響についても検討した。一方、タングステン堆積層における水素同位体吸蔵量について、前年度、多層化したタングステン堆積層中の軽水素吸蔵量を測定し、単層に比べて吸蔵量が変化する実験結果を得た。今年度は、その信頼性を向上するため、昇温脱離分析装置の更なる改良とデータの精査を行った。また、九州大学応用力学研究所の長時間放電型核融合実験装置QUESTの高速試料搬送装置FESTAの整備を行い、動的吸蔵特性に関する実験について検討した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件)
Plasma and Fusion Research
巻: 16 ページ: 2405057
10.1585/pfr.16.2405057
Nuclear Materials and Energy
巻: Accepted ページ: -
10.1016/j.nme.2021.100980