研究課題/領域番号 |
18K13545
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
山縣 淳子 京都産業大学, 理学部, 准教授 (90548215)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中間子原子核 / エキゾチック原子核 / ハドロン分子状態 / ストレンジネス / 強い相互作用 / ハドロン物理 / 理論核物理 |
研究実績の概要 |
本研究では、中間子が原子核に束縛された中間子原子核を対象とし、将来の中間子原子核研究を見据えて、10年後に得られるであろう実験の系統性と実験データの精密化を考慮した中間子原子核の理論的探求を行うことを目的としている。 今年度はJ-PARCで行われた反K中間子ビームを用いたΛ(1405)粒子の生成反応に関する理論計算を行った。Λ(1405)粒子は、反K中間子と核子の束縛状態と期待される粒子である。J-PARC E31実験では重陽子標的、J-PARC E15実験では3He標的を用いて、Λ(1405)粒子が崩壊したπ中間子とΣ粒子を観測している。本研究では、高いエネルギーをもって入射した反K中間子が標的中の中性子を前方に叩き出すことで、エネルギーを失い遅くなった反K中間子が残りの核子と反応することでΛ(1405)粒子を生成する、という過程を考えた。その結果、標的中の中性子を叩き出した後の反K中間子の運動量が低いところでは実験データをよく再現することができたが、反K中間子の運動量が大きいところでは再現することができず、最初に反K中間子が標的中の中性子と反応する散乱振幅を改善する必要があることがわかった。 上記の研究成果は、2019年日本物理学会秋季大会で口頭発表を行った。また、昨年度投稿していた反K中間子、反D中間子と核子の束縛状態であるKbarDbarN系の論文はPhysical Review C誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反K中間子ビームを用いたΛ(1405)粒子の生成反応に関する理論計算を行い、実験データと比較をした。研究成果は、2019年日本物理学会秋季大会で口頭発表を行った。また、昨年度投稿中であったKbarDbarN束縛状態に関する論文はPhysical Review C誌に掲載されており、概ね順調に研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後もさらに少数多体系に対して新しい中間子原子核状態の束縛可能性を探っていく。J-PARCなどの実験における観測可能性を示すこと、また、系統性を見いだすための理論計算を進める必要がある。
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