研究課題
若手研究
本研究では、場の量子論における数値シミュレーション(MCMC)を機械学習で高速化する手法の開発を目的としていた。そのために、MCMCの実行中に機械学習モデルを訓練し続けることができ、かつ目的の理論への修正ステップも含めた汎用的手法である自己学習モンテカルロ法(SLMC)をいくつかの理論に応用した。最終的にはフェルミオンの入った非可換ゲージ群(SU(2))を持つ格子ゲージ理論への応用し、その正確性をチェックし、実際に自己相関が改善することまで示した。
機械学習、数理物理
機械学習の手法を物理学に、より広くは科学分野に応用しようという動きが広がっているが、その場合におそらく最も重要な問題は、機械学習モデルの「間違い」を、精密さが要求される科学分野でどのように取り扱うかだと思われる。その点で、SLMCを用いたシミュレーションは(応用先の理論がわかっている場合には)、Metropolis-Hastingsテストを挟むことで正確さを担保するという意味で一つの解法を与えている。