研究課題
前年度までに得たガンマ線反応事象を用いたフライトデータ解析を進めた。(1)気球高度での主要背景事象である大気ガンマ線のスペクトル(0.1-1GeV帯域)を導出した。測定値は、70年前後に測定された結果とは異なる傾向を示している一方、最新のHKKMモデルによる計算値や00年前後のmulti-GeV帯域の測定とスムーズに接続する傾向を示している。(2)到来時刻を決定、姿勢モニター情報から天球に対する到来方向を決定する処理を進め、目標天体として掲げていたVelaパルサー領域を解析した結果、統計的有意な検出に成功した。エマルション望遠鏡による初めてのガンマ線天体観測例となり、100MeV帯域で世界最高解像度での天体イメージングを達成した。(3)本実験で得られた成果が高く評価され、次期観測計画がJAXA国際大気球実験として採択された。(4)原子核乾板スキャンデータのさらなる高品質化に向けて、高い解像度の落射式顕微鏡を用いて原子核乾板画像を分析した。これまで詳細に調べられていなかった微小現像銀粒子(tiny fog)の数密度がフィルム毎に違っており、スキャンデータのノイズばらつきの原因となっていることが明らかになった。(5)次期気球実験に使用する与圧容器ゴンドラを大型化かつ軽量化するデザイン検討・強度検討を行い、2.5平米の望遠鏡が搭載可能な実機フライトモデルを製作した。(6)次期気球実験に使用するより均質な原子核乾板を大量に製造するため、名古屋大学の原子核乾板インフラ設備のアップグレードを進めた。原子核乾板はこれまで手塗りでの製作であったが、 ロール状に巻かれたフィルムを引き出し、オンラインで乳剤塗布、乾燥を連続的に行い、終端でフィルムを巻き取る「ロールtoロール自動塗布」への置き換えを検討した。コーターメーカーにてテストを繰り返し、仕様を選定し、学内へ装置の導入を完了した。
すべて 2019 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 9件) 備考 (1件)
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