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2019 年度 実施状況報告書

高圧キセノンを用いた方向感度と大質量を両立する究極の暗黒物質探索実験の原理検証

研究課題

研究課題/領域番号 18K13567
研究機関神戸大学

研究代表者

中村 輝石  神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(PD) (80750463)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード暗黒物質 / キセノン / ガス検出器
研究実績の概要

当該年度は、ガスを抜くための真空ポンプ、循環ポンプ、供給用の昇圧ポンプが相次いで故障し、キセノンのガスラインに空気が混入する問題が発生した。キセノン中に不純物が混入すると、EL光量の大幅な減少、電子ドリフト時のアタッチメントによる消失が発生し、検出器の性能を悪化させるため、早急に対応が必要となった。真空ポンプは新調し、循環ポンプと昇圧ポンプは高圧ガスに対応した信頼性の高いものに交換、空気の入ったガスは液体窒素による蒸留を複数回行った。純度の判断のためにガス分析機RGAを導入しており、新品のキセノンには及ばないものの、ガス循環で何とか使用可能なレベルまで回復した。RGAを導入したことにより新品のキセノンの純度との比較や新たに設置した露点計で測定した水分量と検出器性能の相関を確認でき、定量的なガス純度の目標値を得ることができた。10L試作機では、シンチレーション光の収集率を向上させた検出器として、VUV-PMTを6個用いたTPCを作成した。全PMTからの信号波形をMPPCの信号と同時に取得するシステムを構築し、正しく動作することを確認した。その後、252Cf線源からの中性子を照射しデータ取得を開始した。しかしながら、TPCの放電により、低エネルギーの原子核反跳事象の抽出には至っていない。現在、対放電性の高いELCCとTPCケージを開発しており、それぞれ設計と試作を行った。また、産総研での中性子ビーム試験において、新たな目的としてミグダル効果の検証ができるかもしれないと考え、シミュレーションによる試算を始めた。複数の目的により、共同でのビーム試験が実現すれば、施設利用料や実験セットアップ構築などで他の実験グループと協力できると見込んでおり、研究を発展させていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

実機による測定は、ポンプの故障や放電によりやや遅れている。しかし、これらの問題にたいしてそれぞれ対策を行っている。

今後の研究の推進方策

2020年度前半はコロナにより大学での実験装置の稼働は困難な状況となる。そこで、その間にシミュレーションベースで進めているミグダルの検証可能性について論文にまとめる。その後、検出器の改良、中性子線源を用いた測定と解析を行う。また、ビーム試験では検出器を現行のガスシステムから切り離して運用する必要があるため、ポータブルな検出器としての改造も進めていく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Design and performance of a high-pressure xenon gas TPC as a prototype for a large-scale neutrinoless double-beta decay search2020

    • 著者名/発表者名
      Ban S、Hirose M、Ichikawa A K、Iwashita Y、Kikawa T、Minamino A、Miuchi K、Nakadaira T、Nakajima Y、Nakamura K D、Nakamura K Z、Nakaya T、Obara S、Sakashita K、Sekiya H、Sugashima B、Tanaka S、Ueshima K、Yoshida M
    • 雑誌名

      Progress of Theoretical and Experimental Physics

      巻: 2020 ページ: 033H01

    • DOI

      10.1093/ptep/ptaa030

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ガス検出器を用いたミグダル事象の観測可能性について2020

    • 著者名/発表者名
      中村輝石、身内賢太朗、伊部昌宏、風間慎吾
    • 学会等名
      日本物理学会 第75回年次大会
  • [学会発表] 高圧キセノンガス検出器による原子核反跳の測定2019

    • 著者名/発表者名
      中村輝石、市川温子、中家剛、小原脩平、潘晟、吉田将、中村和広、菅島文悟
    • 学会等名
      日本物理学会 2019年秋季大会
  • [備考]

    • URL

      https://www-he.scphys.kyoto-u.ac.jp/research/Neutrino/AXEL/index.html

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公開日: 2021-01-27  

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