研究課題/領域番号 |
18K13568
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
鈴木 惇也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 日本学術振興会特別研究員 (90795014)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 超伝導検出器 / リードアウト / ダイレクトRF / FPGA |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、最新鋭の電子回路技術を用いて超伝導検出器のリードアウトを単純化・高性能化することである。超伝導検出器は数GHzに共振周波数を持つマイクロ波共振器によって多重化することが主流となりつつあり、従来のシステムは高周波での読み出しを達成するために複数の部品を組み合わせて構成されていた。本研究では、共振器の周波数に直接アクセスできる最新鋭のアナログ-デジタル変換器を用いて、大幅なコストダウンと高性能化を目指す。 本年度は実際にアナログ-デジタル変換器の評価ボードを購入し、それを実際に試用して性能を検証した。超伝導検出器の読み出しは、各素子に備えられたマイクロ波共振器に対応する波を入力し、その応答が入力からどれだけ変化しているのかを見ることで行う。したがって超伝導検出器に入れる波を作成する回路(DAC)、および超伝導検出器から帰ってきた波を検出する回路(ADC)がセットで必要となる。本年度はこの DAC 側について、実際にターゲットとしている周波数の波を出力できることを確認した。 また、必要な回路(ADC/DAC)とデジタル回路とを接続するための通信プロトコルについて情報収集を行った。講習会への参加などを通してこのプロトコルについて調べるとともに、回路製造会社から提供されているサンプルプログラムの理解を進め、独自のファームウェアを作成する準備を整えた。 さらに、超伝導検出器の応答信号の処理についても研究を進めた。複数の素子を同時に読み出すためには返ってきた信号を周波数分解する必要がある。こうした処理は CPU には不得手であり、FPGA を用いる必要がある。この FPGA 上において周波数分解を行う技術について、手持ちの評価ボードを用いて試験的に構成し、その回路規模のチェックや動作の正否を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
回路部品の性能が高いため輸出入の手続きが煩雑になり、調達に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
応答を読み出す側 (ADC) についても評価ボードを用いて動作を検証する。本年度の調査内容をもとにして、まずは単純な動作をするファームウェアを作成して実際の超伝導検出器を用いて性能を実証することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に必要な部材を、研究機関に既に備わっているもので代用できたため、予定よりも物品費を抑えることができた。 ダイレクトRFの分野は日進月歩の発展を見せており、続々と高性能・新機軸のデバイスが発売されつつある。次年度使用額を利用して当初の想定を超えた性能の部材を入手し、研究の達成度をより高めていく。
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