銀河の観測的研究では、遠くのものほど小さく暗く見えるため、遠方にある銀河はどうしても近傍にある銀河と比べて詳細を調べることがより困難になる。近年の望遠鏡の技術的な進歩、とりわけALMA望遠鏡の高感度・高空間分解能は、遠方天体での分子スペクトル線の観測可能性を大きく切り拓いた。この状況の下、銀河の分子化学組成とそれを構造や力学と対応づける研究は黎明期を迎えている。この研究では、宇宙の歴史を通じて最も著しく星形成が行われる時代の代表的な銀河について、かつてない高感度観測で分子化学組成を明らかにした。この結果は、今後より多数の銀河に研究が拡張される際のベンチマークとして役立てられる。
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