研究課題/領域番号 |
18K13583
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
飯田 佑輔 関西学院大学, 理工学部, 助手 (10706328)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 太陽 / 磁場 / 乱流 / ビッグデータ / 画像認識 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究計画に沿って「子午面還流の検出とその磁気塊パラメータ依存性探査」を中心に行った。年度途中に、購入した計算サーバの故障や解析データであるSolar Dynamics Observatory衛星のNASAデータサーバストレージが破損する、などの予想外の問題はあったが年度初期から継続して研究を行ったことで、無事に計画を進展できた。また、これまでの研究で開発した磁気塊の自動認識・追跡コードの言語をInteractive Data LanguageからPythonへ書き換え、さらにアルゴリズムの並列化を終えることができた。アルゴリズムの並列化は最終年度に予定していたもので、次年度や最終年度の解析に要する計算時間を非常に短くすることができた。実際に本年度も、データストレージの故障に伴って解析計算がストップしてしまったものの、並列化による高速化で順調に研究計画に沿って実行できた。 得られた1つの大きな科学成果は、子午面還流の検出にとどまらず、サイズなどの磁気要素パラメータにその大きさが依存することを見出したことだ。これは、これまでにない莫大な数の磁気要素運動の解析から、1/100画素の運動を検出に成功したことによって、初めて見出された。一方でこの結果からは大きな表面磁気要素が、想像していた以上に深い内部の太陽流れ場を反映している可能性があることを示す。この結果は日本天文学会などで口頭講演を行っている。 また、本研究計画の実行中に黒点自動判別についても新しいアイディアを得て、その研究を進めることで学術会議で発表を行った。この結果は次年度に計画していた黒点付近の自動検出にも影響を与える結果であり、さらなる解析を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ解析は当初計画よりも大きく進展した一方で、論文出版については本年度内では間に合わなかった。そのため、研究トータルの進展としてはおおむね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、本年度の成果である「子午面還流の検出と磁気塊パラメータ依存性探査」を学術論文として直ちに出版する。 次に、研究計画の2番目の項目である「黒点の拡散過程の評価」を行う。本項目の実施には、黒点の観測リストが必要である。そのために必要なSolar Dynamics Observatory衛星の観測データは入手済みである。一方で、黒点領域はこれまでに解析した太陽静穏領域に比べて磁場が密に存在し、これまでに開発した磁気塊の認識手法の改良が必要な可能性が高い。これまでは、画像全体である閾値を定める「Threshold Method」で認識を行ってきたが、「Watershed Method」などの密な画像に強い手法も組み合わせて取り入れて改良する。 また同時に、最終年度で行う「各輸送過程の太陽周期依存性探査」を行うための大量のデータを入手しておく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は論文出版を行わなかったために、次年度使用額が生じた。ただちに出版を行うことで、次年度に使用する。
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