研究課題
本研究は、惑星形成の第一段階であるミクロンサイズのダストが付着成長していく過程を、原始惑星系円盤の天文観測から解き明かすことを目標としている。特に我々は、アルマ望遠鏡を用いた偏光観測に着目している。我々のグループは偏光観測をもちいることで成長途中のダストサイズを制限できることを理論的に突き止め、更に観測も精力的に進めている。本年度は特に、原始惑星系円盤HD142527について、偏光メカニズムが場所によって異なることを発見した。これは領域ごとにダストサイズが異なるという理論と一致している。この結果から、従来観測が難しいと言われていた磁場についても制限を与えることに成功した。これは、惑星形成が起こる原始惑星系円盤の環境への制限という点で重要である。更に、ダストの散乱光学特性計算から、ダストの空隙率の検討を始めたり、また、新たなダスト偏光メカニズムとしてダストのガス流整列の提唱を行った。
2: おおむね順調に進展している
本年度は原始惑星系円盤HD142527のALMA高解像度偏光データについて解析出版をした。その他にも2編関連する論文を出版している。これらの特に、本研究の目標の一つであるダストの組成に係る研究として、ダストの散乱光学特性についても理論的論文を発表しており、これは観測結果を理論的に解釈する際のもととなる。これらのことから、本研究は概ね順調に進んでいると言える。
2年目となる2019年度は、観測としては、すでに取得済みの原始惑星系円盤AS209の偏光データ解析を進める。また、理論的にも従来考えられていなかったガス流によるダスト整列の理論も提唱しており、これらによって原始惑星系円盤の偏光観測の理論・観測それぞれにおいて研究を発展させる。
他財源により予定していたよりも研究発表の旅費使用が少なかったため、次年度の研究発表で利用する。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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