研究実績の概要 |
惑星形成は、原始惑星系円盤におけるダストの付着成長によって実現する。近年、特にアルマ望遠鏡により原始惑星系円盤の全体像が詳細に明らかとなってきた。特に、リングギャップ構造の解明は、原始惑星系円盤においてまさに惑星が形成されつつあることの間接的な証拠として注目されてきた。その一方で、原始惑星系円盤における惑星の種であるダスト粒子の質量は、惑星を形成するには足りないと指摘されるなど、そのミクロ物理の解明が重要な課題となっていた。
このような中で我々は、近年着目されているダスト散乱及び散乱に起因する偏光観測に着目し、ダスト質量やサイズと言ったミクロ物理の制限を勧めた。原始惑星系円盤TWHyaの多波長連続波データに対して、これまで無視されてきた散乱の効果を加えて再解析をしたところ、特に中心付近におけるダスト質量は、これまで見積もってきたものよりも20倍以上大きいことがわかった。これは、惑星の種であるダストの質量がこれまでより重かった可能性を示しており、惑星形成にインパクトのある結果である(Ueda, Kataoka, et al. 2020, ApJ, 893, 125)。また、原始惑星系円盤IRS48においては、ミリ波偏光観測データ及びVLA連続波データを用いた結果、双方の結果を説明するには従来必要とされていたよりも重いダストが必要であることがわかった(Ohashi, Kataoka et al. 2020, ApJ, 900, 81)。これらの結果はそれぞれThe Astrophysical Journalに出版された。
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