研究課題/領域番号 |
18K13590
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
片岡 章雅 国立天文台, 科学研究部, 助教 (70749308)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 惑星形成 / 原始惑星系円盤 / 電波観測 / 偏光 |
研究実績の概要 |
原始惑星系円盤は、惑星形成の舞台であり、ALMA望遠鏡を用いた電波観測によって、惑星の種であるダストを直接観測できる天体である。本年度我々は、ダストのサイズ成長に関する観測的制約について2つの成果を査読論文として出版した。一つは、原始惑星系円盤のダストリングの高さを測定する方法の開発及びその応用である。原始惑星系円盤は、アルマを中心とした電波望遠鏡の観測により飛躍的にその観測的研究が進んだ。特に、高解像度観測においては、従来考えられてこなかったダストのリングギャップ構造を明らかにした。これらの構造は、形成中の惑星の存在を示唆する構造として注目されている。その一方で、このような環境における惑星形成環境の制約は乏しい。本研究では、高解像度観測を利用して、ダストがどの程度成長しているかを間接的に求める手法がないかを検討した。その結果、従来ダストは付着成長により大きくなると考えられていたが、同じ原始惑星系円盤内でも成長の程度が異なることを示した。これは、場所によって惑星の出来具合が違うことを観測的に示すものである。 並行して、我々の進めている偏光観測についても進展があった。我々は、偏光観測がダスト散乱に起因することを突き止め、かつダストサイズの測定手段として利用できることを示してきた。だが、ダストが赤道面に沈殿している際は、赤道面のダストサイズが測れないという課題があった。今回、ダスト沈殿の影響を考慮しても、ダストは数mm以下のサイズでなければいけないことも判明した。以上から、観測的にダスト成長・ひいては惑星形成の段階を制限するという目的に対して、十分に成果を出すことができたと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本科研費について、2022年度への補助事業期間延長の承認を受けた。成果は順調に査読論文として発表されている。一方で、コロナ禍が長引き、国際会議等の開催が極端に少なくなったため、成果発表の場を設けることができていない。次年度の国際会議等で成果を発表していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの成果を国際会議にて発表し、国外にたいしても成果をアピールする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本科研費は、最終年度に積極的に国際会議にて成果を発表する予定であったが、コロナ禍において国際会議の開催そのものが延期されており、成果発表の場がなかった。そのため、本科研費は補助事業期間延長の承認を受け、次年度使用額は次年度開催予定の国際会議にて利用予定である。
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