原始惑星系円盤HD 163296の偏光データを解釈するため、散乱を考慮した輻射輸送計算を行うことで、観測を再現するダストサイズやスケールハイトを調べた。偏光観測と輻射輸送計算の両方を行うことで、散乱偏光はダストサイズだけでなくダストのスケールハイトに制限をつくことを新たに発見した。 HD 163296円盤は複数のリングーギャップ構造を持つため、惑星形成によって、このような構造が生まれることが示唆せれている。ALMAのデータから偏光の起源としてダストの熱輻射の散乱が指摘されていた。我々の詳細な研究によって、リングとギャップでダストサイズが確かに違うことを示すことができた。さらにダストのスケールハイトが円盤の外側ほど大きく膨れ上がっている可能性も新たに指摘した。これは乱流の強さが遷移していることを意味し、その可能性として磁気回転不安定性(MRI)の駆動と消滅の違いが影響していることを議論できた。これらの結果を論文にして出版した。 また、AS 209円盤についても偏光データの解析を行った。この天体も複数のリング構造を持っているが、偏光の起源は散乱だけでなくダストの整列が重要であることも明らかになった。これらの偏光起源の変化として、ダストサイズの違いが考えられる。 この結果も論文として出版にまで至った。 さらに、非常に若い原始星L1527に付随する原始星円盤でも、複雑な構造を新たに発見した。このようなリング構造、ひいては惑星形成の開始時期が円盤の形成段階である非常に若い頃から行われている可能性を議論し、論文として受理された。
|