研究課題/領域番号 |
18K13599
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大澤 亮 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (40748696)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 流星 / 広視野カメラ / 動画天文学 |
研究実績の概要 |
広視野 CMOS モザイクカメラ "トモエゴゼン" の運用, および微光流星観測を実施した. 2020 年 10 月には 4 台あるカメラモジュールのひとつに g, r, i バンドのフィルタを取り付けて微光流星の多色撮像観測を実施した. 2020 年 11 月には小惑星リュウグウから放出されたダスト粒子をターゲットとした流星観測を実施した. 2020 年 12 月には京都大学生存圏研究所 MU レーダーと共同でふたご座流星群の観測を実施した. いずれのデータも現在解析を続けている. 解析の効率化のためのソフトウエアの開発も進めており, トモエゴゼンの観測データ以外にも適用できるような形式で公開を予定している. また, 京都大学 MU レーダとトモエゴゼンによる同時観測 (2018 年 4 月) によって取得したデータから微光流星の可視光での明るさとレーダ反射断面積の経験的な関係を導出, MU レーダで数年に渡って取得してきた散在流星の光度分布・流星体の質量分布を求めた. この成果をまとめた論文が 2020 年 10 月に Planetary and Space Science 誌に掲載された. 木曽観測所 105-cm シュミット望遠鏡とトモエゴゼンが最先端のレーダ観測に匹敵する暗さの流星まで検出できることを示すとともに, MU レーダーとトモエゴゼンの組み合わせが地球近傍の惑星間塵の研究に有用であることを示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
トモエゴゼンの運用および解析環境の開発は順調に進んでいる. 2020 年度には前年度と比較して十分な観測時間を確保することができた. ふたご座流星群の MU レーダとの同時観測や g, r, i バンドによる流星の多色観測を実施した. 動画データから流星を検出するための手続きを効率化するためのソフトウエアの開発を並行して進めた. また, 宇宙航空研究開発機構研究開発部門に所属する Manuel Cegarra Polo 氏との共同研究によって, 動画中に現れる線分を高速で検出するためのアルゴリズムの開発もおこなった. 一方で, 2019-2020 年度に取得したデータの解析は計画より遅れており, 2021 年度に集中して進める必要がある.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究によって目的を達成するために必要なデータを取得することができた. 2021 年度はデータ解析環境 (ソフトウエア・計算機) の整備と 2019-2020 年度に取得したデータ解析を進める. 現在開発中の微光流星検出ソフトウエアに必要な機能を追加し, トモエゴゼンのデータだけでなく一般に使えるよう整備して公開をする. また, このソフトウエアを使用してデータ解析を実施するための環境を木曽観測所に整備する. 計算機は木曽観測所に既に配置されているものを使用する. 2019 年度に取得したデータを解析することでトモエゴゼンによる分光観測パフォーマンスの評価する. また, 2020 年度に取得した微光流星多色観測のデータを解析することで, 微光流星の光度関数を波長ごとに求め, 微光流星のスペクトルについて議論することを予定している.
|