研究課題
本研究の目的は、新しい惑星形成シナリオであるペブル集積モデルのもとで、惑星周囲の原始惑星系円盤ガス流を考慮した氷ダスト( ペブル)の集積効率を求め、地球型惑星の水量決定機構を解明することである。本研究は惑星周囲の原始惑星系円盤ガス流の流体シミュレーション、惑星が駆動するガス流による抵抗を考慮した流入ペブルの軌道計算、氷ペブルによる地球型惑星への水供給量の推定と水の起源の制約という3段階に分けて行う計画である。研究実施計画にもとづき、平成30年度に行った惑星周囲の原始惑星系円盤ガス流の流体シミュレーション結果を用いて、令和初年度は惑星が駆動するガス流による抵抗を考慮した流入ペブルの軌道計算を行った。惑星サイズ・ペブルサイズをパラメータとし、それぞれのパラメータセットに対して多数のペブル軌道計算を行うことで、ペブル降着断面積を導出した。その結果、小さいペブルは惑星が駆動するガス流の影響を強く受けることがわかった。惑星が駆動するガス流は円盤中心面付近からの流入を抑制する。一方、大きいペブルが受ける影響は限定的であった。また、大きい惑星がつくり出すガス流ほどより大きなペブルに影響しうることがわかった。この結果にもとづき、様々な円盤乱流強度に対して、乱流によるペブル巻き上げを考慮したペブル集積効率を計算した。これらの成果は論文として出版済みである。得られた集積効率は、令和2年度の氷ペブルによる地球型惑星への水供給量の推定と水の起源の制約に使用される。
2: おおむね順調に進展している
研究実施計画通り、惑星が駆動するガス流による抵抗を考慮した流入ペブルの軌道計算を行い、ペブル集積効率を導出することができた。
研究実施計画通り、令和初年度に得られたペブル集積効率のシミュレーション結果を用いて、令和2年度は氷ペブルによる地球型惑星への水供給量の推定と水の起源の制約を行う。
予定より学会出張での使用額が少なかったため、次年度使用額が生じた。これについては翌年度に成果発表のための学会出張に使用する。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
Astronomy & Astrophysics
巻: 633 ページ: A81~A81
https://doi.org/10.1051/0004-6361/201936842
遊星人
巻: 28(4) ページ: 266-276
http://www.elsi.jp/ja-JP/news_events/highlights/2020/20200128_hkurokawa
http://www.elsi.jp/en/news_events/highlights/2020/20200128_hkurokawa