研究実績の概要 |
2020年度には新観測システムの開発が完了したほか、掩蔽観測および動画観測データを用いた論文2報を出版した。2020年度には2019年度に概念設計が完了していた、掩蔽動画モニタ観測に特化した観測システムの開発を実施し、動作試験などを実施した。その結果、観測システムが掩蔽観測に必要なフレームレートでデータを取得できることなどを確認した。また2020年度は新観測システムを用いた長時間のモニタ観測を想定し、前年度までに開発した解析プログラムをさらに高速化させることに成功した。当該観測システムは2021年度以降に本格的なモニタ観測を実施する予定である。 2020年度は観測システムの開発に加え、昨年度に引き続き冥王星による恒星掩蔽現象の観測データの再解析を進め、冥王星の大気圧の時間変動を観測的に確認することに成功した。当該研究成果に関しては投稿論文として公開した(Arimatsu et al. 2020, Astronomy & Astrophysics, 638L, 5)。 本年度は可視動画天文学の可能性を追求する一環として、動画データを利用した掩蔽観測以外のサイエンスの開拓も行った。旧観測システムによって取得された動画観測データの再解析を実行し、天球上で0.1秒-秒スケールの閃光現象の発生頻度の上限値に観測的制約を得ることに成功した。こうした観測的制約は得られた前例がなく、今後可視動画天文学の進展によって切り開かれていることが期待される新たなサイエンスである。当該研究成果について投稿論文として公開した(Arimatsu et al. 2021, The Astronomical Journal, 161, 3)。
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