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2021 年度 実施状況報告書

太陽系外縁天体から探る太陽系進化過程

研究課題

研究課題/領域番号 18K13607
研究機関国立天文台

研究代表者

寺居 剛  国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (20624018)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード太陽系外縁天体 / サイズ頻度分布 / サーベイ観測 / すばる望遠鏡
研究実績の概要

本研究は海王星軌道の外側に分布する太陽系外縁天体(以下、外縁天体)およびそれらと関係性の高い小天体集団に対して観測データに基づく統計的調査を実施することにより太陽系外縁部における微惑星の形成・進化過程に関する理解を深め、太陽系初期に起こったと考えられている巨大惑星移動に伴う小天体の大規模軌道進化の解明に迫ることを目的とする。
すばる望遠鏡の超広視野撮像装置 Hyper Suprime-Cam(HSC)を用いた観測により取得した黄道面領域サーベイデータを解析した結果、173個の外縁天体を検出した。そのうち軌道傾斜角が低く赤いカラーをもつ“cold classicals”と呼ばれる天体から得られた直径80km程度までのサイズ頻度分布(天体サイズに対する個数の頻度分布)は、先行研究で指摘されていたような折れ曲がりを持つべき乗測で近似することができることが確認された一方、べき指数や変曲点は先行研究のものとは異なることが示された。また、木星トロヤ群のサイズ分布とは一致しない一方、海王星トロヤ群のそれとは形状が類似していることが確認された。サイズ頻度分布の形状は太陽系初期の微惑星集積過程を反映しており、本結果と他の天体集団と比較することによってcold classicals天体の起源や他の小天体集団との関係性を探る有力な手掛かりにつながると期待される。
また、外縁天体と同じ起源をもつと考えられている木星トロヤ群天体のサイズ分布に関する研究においても新たな知見が得られ、その結果を投稿論文にて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

外縁天体のサイズ分布研究の成果をまとめた投稿論文を準備中で、近日中に国際雑誌へ投稿する予定である。また、すばる望遠鏡で取得した他の観測データの解析も進めている。

今後の研究の推進方策

すばる望遠鏡 HSC により取得されたデータを使って強い力学励起を経験している高軌道傾斜角外縁天体のサイズ分布を測定し、低軌道傾斜角のそれと比較することにより、外縁天体の形成・力学進化を探る。
また、特定の領域を観測した多数の画像を重ね合わせ、極めて暗い外縁天体を検出するための技術開発を進め、衝突進化の効果が卓越することによって生じるサイズ分布形状の遷移を検出することを目指す。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19 の影響で出張ができなくなり、予定していた研究会への参加や共同研究者との対面での打ち合わせを断念したため。
別の研究会への参加もしくは物品(データストレージなど)の購入を予定している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] FOSSIL. II. The Rotation Periods of Small-sized Hilda Asteroids2022

    • 著者名/発表者名
      Chang Chan-Kao、Chen Ying-Tung、Fraser Wesley C.、Lehner Matthew J.、Wang Shiang-Yu、Alexandersen Mike、Choi Young-Jun、Granados Contreras A. Paula、Terai Tsuyoshi(以下略)
    • 雑誌名

      The Astrophysical Journal Supplement Series

      巻: 259 ページ: -

    • DOI

      10.3847/1538-4365/ac50ac

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] FOSSIL. I. The Spin Rate Limit of Jupiter Trojans2021

    • 著者名/発表者名
      Chang Chan-Kao、Chen Ying-Tung、Fraser Wesley C.、Yoshida Fumi、Lehner Matthew J.、Wang Shiang-Yu、Kavelaars JJ、Pike Rosemary E.、Terai Tsuyoshi(以下略)
    • 雑誌名

      The Planetary Science Journal

      巻: 2 ページ: -

    • DOI

      10.3847/PSJ/ac13a4

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Size Distributions of Bluish and Reddish Small Main-belt Asteroids Obtained by Subaru/Hyper Suprime-Cam2021

    • 著者名/発表者名
      Maeda Natsuho、Terai Tsuyoshi、Ohtsuki Keiji、Yoshida Fumi、Ishihara Kosuke、Deyama Takuto
    • 雑誌名

      The Astronomical Journal

      巻: 162 ページ: -

    • DOI

      10.3847/1538-3881/ac2c6e

    • 査読あり
  • [学会発表] Water ice abundance on small trans Neptunian objects2022

    • 著者名/発表者名
      寺居剛
    • 学会等名
      GREX PLUS サイエンス検討会 FY2021
  • [学会発表] Color and size distributions of main belt asteroids obtained by the Subaru/Hyper Suprime-Cam2021

    • 著者名/発表者名
      前田夏穂、寺居剛、大槻圭史、吉田二美、石原昂将、出山拓門
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union Meeting 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] Solar System Sciences2021

    • 著者名/発表者名
      Tsuyoshi Terai, Bryan Holler, Fumi Yoshida, Stefanie Milam
    • 学会等名
      Subaru Roman Synergistic Observations Workshop IV
    • 国際学会
  • [学会発表] すばる望遠鏡HSCの観測画像・カタログデータベースを活用した既知太陽系小天体探査2021

    • 著者名/発表者名
      大坪貴文,高田唯史,古澤久徳,古澤順子,寺居剛,吉田二美,浦川聖太郎
    • 学会等名
      日本天文学会2021年秋季年会
  • [学会発表] すばる望遠鏡Hyper Suprime-Cam で得た表面カラーの異なるメインベルト小惑星のサイズ分布比較2021

    • 著者名/発表者名
      前田夏穂、寺居剛、大槻圭史、吉田二美、石原昂将、出山拓門
    • 学会等名
      太陽系天体若手研究会

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公開日: 2022-12-28  

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