研究課題
本研究は海王星軌道の外側に分布する太陽系外縁天体(以下、外縁天体)およびそれらと関係性の高い小天体集団に対して観測データに基づく統計的調査を実施することにより太陽系外縁部における微惑星の形成・進化過程に関する理解を深め、太陽系初期に起こったと考えられている巨大惑星移動に伴う小天体の大規模軌道進化の解明に迫ることを目的とする。すばる望遠鏡の超広視野撮像装置 Hyper Suprime-Cam(HSC)を用いた観測により取得した黄道面領域サーベイデータから173個の外縁天体を検出し、“cold classicals”と呼ばれる始原的な外縁天体グループのサイズ頻度分布(天体サイズに対する個数の頻度分布)を直径80km程度まで測定し、べき指数や変曲点サイズが先行研究の結果とは異なることを示した。また、同じくすばる望遠鏡による観測データから外縁天体の一部と起源が同じと指摘されている木星トロヤ群天体(L4・L5)およびヒルダ群天体のサイズ頻度分布を測定し、それらが類似していることを示すとともに、メンベルト小惑星のそれとは明らかに異なることを明らかにした。さらに、NASAの冥王星探査ミッションNew Horizons の延長プログラムに協力し、探査機による外縁天体観測プロジェクトに参加した。加えて、数年後の打ち上げが予定されているRoman宇宙望遠鏡や日本独自の宇宙望遠鏡計画GREX-PLUSのサイエンス検討に参加し、本研究の今後の発展について議論した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
The Astronomical Journal
巻: 163 ページ: 213~213
10.3847/1538-3881/ac5b6d