| 研究課題/領域番号 |
18K13616
|
|---|
| 研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
|---|
研究代表者 |
木下 武也 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(大気海洋相互作用研究プログラム), 研究員 (20648638)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
| キーワード | 赤道波 / ロスビー波 / 物質輸送 |
|---|
| 研究実績の概要 |
赤道域の波活動に伴う循環場を3次元的に捉える理論の開発、解析手法の確立に向け、研究を進めている。今年度は昨年投稿した2つの論文、観測キャンペーンYears of the Maritime Continent (YMC)-Sumatra 2017のデータを用いた大気重力波に関する解析論文および温位面における非定常ロスビー波活動そして、それに伴う物質輸送を3次元に記述する理論に関する論文の改訂を共著者と行い、無事受理された。また、研究代表者等が幹事となって行った研究集会「大槌シンポジウム」では観測キャンペーンYMC-Sumatra 2017およびYMC-BSM 2018のデータを用いた研究を紹介するとともに、その内容を論文化した。その後、対流圏の対流活動や総観規模波と成層圏の大気重力波活動の関係を調べるべく、観測キャンペーンYMC-BSM 2018期間の波活動度フラックスおよびそれに伴う物質輸送の事例解析を行った。理論研究においては、対地群速度に比例する3次元波活動度フラックスをKinoshita and Sato (2013) で導出した統一分散関係式を用いずに導いた。さらに擬運動量と波活動度フラックスの収束発散の関係を示す一般化Eliassen-Palm関係を対地群速度に比例する3次元波活動度フラックスを用いて変形し、その有用性を示した。これらの研究は国内・国際学会等において発表（招待講演を含む）し議論を行い、現在論文化に向け、研究をさらに進めている。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海大陸域のラジオゾンデ観測データおよび再解析データにこれまで導出した波活動を3次元に記述する理論を適用し、大気重力波の特性を明らかにすべく研究を進めている。昨年度投稿した論文は、今年度に入ってからも査読者とやり取りを行い、共著者と議論を重ねた結果、無事二本とも受理された。また、上記観測研究を発展させた内容に関する論文を出版した。今年度から進めている波活動度フラックスに関する理論および波活動とそれに伴う物質輸送に関する解析研究は、国内・国際学会での発表を通じて議論を行い、論文化に向け、さらなる検証・解析を進めている。以上より研究代表者の研究は、当初の計画通りに進展しているといえる。
|
| 今後の研究の推進方策 |
解析研究においては、海大陸域のラジオゾンデ観測データの他、再解析データや衛星観測データを用い、重力波活動に伴う背景場の変調および重力波に伴う物質輸送を明らかにすることを目指す。具体的には、YMC-BSM 2018期間における対流圏の擾乱活動と成層圏の重力波活動の関係に焦点を当て、実際に観測された波の伝播特性、発生源などを特定し、その期間における重力波が作る物質輸送を明らかにする。一方、理論研究では、引き続き熱帯対流圏―成層圏における波活動・そしてそれに伴う物質輸送を詳細に記述可能な理論の開発を進めるが、次年度は温位座標を用いた理論の開発に注力する予定である。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
改訂を行い受理された2つの論文の出版費用が予定金額よりも低かった。次年度は複数の論文の出版を目指しているため、その出版費用として使用予定である。
また、国内学会および国際学会において研究成果を発表し、他の研究者と議論を行い、最新の研究情報を得るため旅費として使用予定である。並びに、研究協力者との打ち合わせのため、旅費として使用予定である。
|
